■決算動向

3. 2021年3月期上期決算の概要
日本アジア投資<8518>の2021年3月期上期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前年同期比7.1%減の1,257百万円、営業損失が179百万円(前年同期は216百万円の損失)、経常損失が300百万円(同364百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が342百万円(同462百万円の損失)となった。

従来連結基準でも、営業収益が前年同期比21.7%減の541百万円、営業損失が316百万円(前年同期は421百万円の損失)、経常損失が335百万円(同483百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が336百万円(同481百万円の損失)と減収ながら損失幅は縮小した。一方、期初見込値に対しては、予定していた株式売却の期ずれ等により営業収益、利益ともに下回る進捗となっている。

従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。

営業収益は、予定していた株式売却の期ずれや売却株式の小型化により減収となった。一方、営業総利益については、営業収益の下振れに加え、他社ファンドからの損失発生、植物工場への先行費用等による影響を受けたものの、利益率の高い上場株式の売却や引当金の戻し入れ※、売電を開始したメガソーラープロジェクトの収益貢献等により前年同期比109.1%増の227百万円と増益を確保。それに伴って営業損失も縮小した。なお、販管費が若干増加しているのは、本社移転に伴う一時的な費用によるものである。

※過去に引当金を計上していた投資先のうち、業績の改善や回収額の増加が見込まれるものに対する引当金を戻し入れたため、評価損・引当金が減少した。


財務面(従来連結基準)では、借入金の返済や投融資実行により「現金及び預金」が減少したことや、採算性が低下した建設中のメガソーラープロジェクトの回収等により、総資産は前期末比7.7%減の14,580百万円に縮小した。借入金も同8.5%減の7,469百万円と順調に減少している。なお、営業投資資産の動きを見ると、「戦略投資」は着実に伸びている一方、戦略投資以外のPE投資は減少。「プロジェクト投資」についても、既述したメガソーラープロジェクトの回収等により減少する結果となっている。一方、財務健全性に目を向けると、自己資本は親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により同6.8%減の6,732百万円に減少したものの、自己資本比率は46.2%(前期末は45.7%)とほぼ横ばいで推移。同社が重視する財務バランス(「現金及び預金」と流動性の高い「プロジェクト投資」の合計が借入金を上回る状態)も一定のプラス幅を維持している。

投資種類別の業績は以下のとおりである。

(1) PE投資
営業収益は前年同期比31.4%減の402百万円、営業総利益は同約3倍の162百万円と減収ながら増益となった。営業収益は、予定していた株式売却の期ずれや未上場株式の売却が小型化したことにより減収となった。一方、損益面では、他社ファンドからの損失発生による影響を受けたものの、利益率の高い上場株式の売却や引当金の戻し入れにより、これを補って大幅な増益を実現することができた。

(2) プロジェクト投資
営業収益は前年同期比33.7%増の139百万円、営業総利益は同18.5%増の64百万円と増収増益となった。植物工場への先行費用が増加したものの、2020年2月以降に売電を開始したメガソーラープロジェクト5件(7発電所)の収益貢献により増収増益を確保した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 アジア投資 Research Memo(5):メガソーラープロジェクトが足元業績をけん引(2)