■今後の見通し

1. 2021年9月期の業績見通し
ティア<2485>の2021年9月期の連結業績は、売上高が前期比4.0%増の12,400百万円、営業利益が同22.6%増の730百万円、経常利益が同20.9%増の710百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同30.2%増の450百万円と増収増益に転じる見通しだ。上期までは葬儀単価下落の影響が残り、減収減益が続くものの、下期以降は単価下落の影響が一巡し、葬儀件数の増加が増収増益要因となる。

葬儀単価は前下期の82万円台から今上期は84万円台、今下期は90万円まで回復することを前提としている。コロナ禍以前の葬儀単価が100万円弱であったことから、感染拡大が終息すれば葬儀単価の回復はさらに進む可能性はあるが、今後の見通しに関してはコロナ禍の動向次第と言える。同社では、葬儀を故人と遺族や知人などとの最後のお別れのセレモニーと考えており、規模の縮小やオンラインでの葬式の実施は望ましくないと考えており、コロナ感染対策を徹底したうえで、従来と変わりないスタイルで施行していくことを遺族側にも提案していく考えだ。

2021年9月期の出店計画は、直営で4店舗(1店舗は移転リニューアル)、FC6店舗を予定している。直営の葬儀件数は既存店の増加に新店稼働が寄与して前期比7.3%増の12,183件を見込む。一方、葬儀単価はコロナ禍の影響が残るため、同3.0%減の873千円と前期比で若干の下落を見込んでいる。既存店の葬儀件数については、直近2年間の平均値に過去の趨勢を見込み、前期比3.3%増、葬儀単価は同3.0%減とし、既存店売上高は同0.1%減の前提としている。

売上原価率は前期比0.1ポイント低下の61.6%を計画している。業務の内製化を推進していくことで商品原価率は前期比0.9ポイント低下する一方で、労務費率は既存会館への人材配置や子会社の業容拡大に伴って同0.7ポイントの上昇を見込んでいる。また、雑費率については店舗拡大に伴う固定費増により前期比横ばいとなる。内製化の取り組みとしては、主に「接客人員」の増員や「生花」の名古屋市内でのカバー店舗数を増やしていく予定だ。一方、販管費率は前期比0.8ポイント低下の32.5%を計画している。人員増や法定福利費の適用範囲拡大伴い人件費率が同0.7ポイント上昇する一方で、広告宣伝費が同0.2ポイント、その他経費が同1.3ポイントそれぞれ低下する。

売上高の増減内訳を見ると、既存店については上期に869百万円の減収となるものの、下期は葬儀単価の回復もあって765百万円の増加となる。また、新店稼働で473百万円、FC事業の増収で38百万円、その他で71百万円となる。同様に経常利益の内訳については、既存店の上期売上総利益の減少で372百万円となり、下期は573百万円の増加を見込む。また、支払手数料の減少で90百万円、その他経費の削減で7百万円となり、人件費の増加159百万円や広告宣伝費の増加16百万円を吸収する格好となる。新卒社員については2020年4月に29名入社したが、2021年4月は17名を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ティア Research Memo(6):21年9月期は葬儀単価下落の影響が一巡する下期以降増収増益に転じる見通し