「『誠実』かつ『確実』」を経営理念として、施設警備を中心に社会の安全に貢献し成長を続けている共栄セキュリティーサービス<7058>。直近ではセコム<9735>と資本業務提携を締結し、事業の一層の拡大とシナジーを目指している。
「大手の警備会社と当社との明確な違いは、大手は機械での警備を主要事業としているのに対して、当社は警備員が実際に現場に常駐するマンパワーの警備会社だということです」と笑顔で語るのは我妻文男(あづま ふみお)社長だ。
「大学生時代、自分の下宿に友人がマイカーで颯爽と現れたんです。どんなアルバイトをしたら車が買えるのかと聞いたところ、警備員だと知って自分もアルバイトを始めたのが、この仕事との出会いです」
新宿の小田急百貨店近くの建築現場に配属された。バブル景気の真只中、建築現場での警備員は引く手あまただった。望み通り、当時最もスタイリッシュなスポーツカーを手に入れた。卒業後は、そのままアルバイト先の警備会社に就職し、様々な資格を取得後、1985年に独立、同社を設立した。
当初は、交通誘導警備事業に取り組んでいたが、2000年に施設警備を開始したことを契機に、全国に拠点を拡大した。2002年にはサッカー日韓W杯大会の警備を実施し、人的警備企業としての基礎を確立した。2008年には愛知県内でユニーの商業施設に採用され、愛知県以西にも進出、2015年には駐車場運営管理を開始するなどⅯ&Aを活用し、事業の多角化を図っている。2019年3月にジャスダックに上場した。
現在の事業構成は、銀行・オフィスビルなどの施設・巡回警備が70%、雑踏・交通誘導警備が25%、駐車場管理やボディーガード他が5%弱だ。国際会議やラグビーワールドカップなどのイベント警備がスポット型(短期契約)であるのに対し、前者はストック型(長期契約)で安定的な収益が見込める。

日本の警備業界は国際的な大規模イベントのたび発展を遂げてきたという歴史がある。1964年の東京五輪の際にセコムが、1970年の大阪万博で綜合警備保障がそれぞれ躍進したと言われる。国際的な注目を集める五輪や万博はテロの格好の標的であり、民間警備会社の重要性が認識されてきた。競技場や選手村はもちろん、政府要人や観光客の宿泊施設、地下鉄等の交通機関、すべてに警備員が必要となる。施設の施工段階で爆発物が仕掛けられる可能性もあり、建築現場では関係者以外は入れないスクリーニングが必須である。ロンドン、リオ五輪では警備員不足が指摘された。東京五輪・パラリンピック開催においても必要な警備員は1万4千万人とも言われ、警備員の調達が課題として残されていた。
今回の東京五輪・パラリンピック開催に対しては期するところがあったのではという質問には、
「確かに上場を終え、またとないタイミングで五輪を迎え、警備会社として一層飛躍したいという思いはありました。今回、延期になってしまったのは残念ですが、まだまだチャンスはありますし、今は上場後のブランド力を生かし、人材の採用と育成を着々としていく時期だと考えてます」
「ラストワンマイルは人による警備が頼りになります。現在2000名の人員を、総勢1万人にまで持っていき、日本一の人的警備会社になりたい」と我妻社長は力強く語っていた。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 共栄セキュリティーサービス---人的警備会社として1万人体制で一部上場を目指す