「ユニークなコミュニケーションサービスの提供によって、お客様の経営に貢献する」を経営理念に掲げている日宣<6543>。創業70年と歴史は古いが、広告会社として自社のメディアを持つ事業モデルが強みだ。

同社の広告宣伝事業の収益の柱の一つが、放送・通信業界向けである。全国のケーブルテレビ局に納品している、加入者向けテレビ番組情報誌「チャンネルガイド」である。1990年代、都市型ケーブルテレビの開局時代に突入した黎明期より全国で営業を開始、現在では約360局ある事業者(※日本ケーブルテレビ連盟の会員数)のうち約100局が同社の「チャンネルガイド」を利用している。同社の安定的な収益の柱だ。

もう一つの収益の柱が住まい・暮らし業界向けの販促プロモーションである。同社の転機は1970年代に旭化成ホームズのプロモーションを一括して受託したことにあった。へーベルハウスの営業は、見込み客を展示場に招待し成約に結び付けることだが、戦略立案、広告・DM・チラシの制作、展示会場の設営、データ収集等、マーケティングからプロモーションまでをワンストップで請け負っている。45年以上にわたる関係性と実績があり、安定的な収益の柱となっている。また、ホームセンター向けには、フリーペーパー『Pacoma (パコマ)』を企画・発行しており、広告集稿に加え、ホームセンター企業に販売している。売り場とWEBを連動して集客プロモーションを行う。売り場に置くメディアを持つことで、生活者との接点も広がり、暮らしのニーズに気づく機会も増える仕組みだ。

顧客別売上構成比は、上述の放送・通信業界向けが44%、住まい・暮らし業界向けが21%で、二つの業界向けの広告宣伝事業で全体の65%を占めている。新規の注力分野として、この1年間で医薬品業界向けが12%と売上を大きく伸ばした。このように、同社は顧客ターゲットを絞り込み、それぞれにおいて固有のノウハウとサービスモデルを構築することで、高い付加価値と参入障壁を保持することを戦略としている。

事業全体のデジタルシフトを図っており、上述したフリーペーパー『Pacoma (パコマ)』のWEB版を始め、リスティング広告、動画、SNS活用など幅広く取り組んでいる。M&Aや提携についても積極的に実施していく予定だ。

「独自のメディアを持つ広告会社として、当社を利用しなければビジネスが成り立たないという存在になりたい。そのためにも新領域に進出すると同時に全社的なデジタルシフトを加速化していく」と本間専務取締役は力強く語っていた。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 日宣---独自の自社メディアを活用し、全社的なデジタルシフトを加速化する