■今後の見通し

b)人材開発コンサルティング戦略
人材開発コンサルティングでは、「ファーストコールカンパニー(FCC)」を志す企業向けのHRプラットフォームとして、「FCCアカデミー(企業内大学)」の普及拡大を目指す。企業内大学設立を支援する「アカデミーコンサルティング」、デジタル機器を使って場所と時間を選ばない学習環境を提供する「アカデミークラウド」、セミナーやオーダーメイド研修を提供する「リアル」の3つのサービスをワンストップソリューションとして提供することで、導入企業数を拡大していく。人材開発に関するサービスでは、様々な企業がeラーニングやタレントマネジメントシステムを提供しているが、いずれも一部のサービスのみであり、企業の人材開発にトータルで対応できる企業は少なく、タナベ経営<9644>の強みとなる。

累計導入社数は、2019年3月末の約80社から2020年3月末は約100社に拡大し、2020年3月期は売上高で約3億円を目指している(売上高は経営コンサルティング分野に含む)。現在、導入している企業は上場企業を含む中堅企業が多いが、今後は大手企業への導入も推進していく方針となっている。導入企業にとっては企業内大学を設置することにより人材育成を効率的に強化できるだけでなく、人材採用面においてのPR効果にもつながるといったメリットがある。新たな機能として、「多言語対応」や「VR」機能を2020年1月から追加する予定で、外国人労働者の研修ニーズに対応するほか、「VR」に関しては製造現場等での作業員の研修用としての活用が見込まれており、さらなる導入社数の拡大が期待される。また、将来的な構想として、「アカデミークラウド」の導入企業同士が業種別につながるオープンプラットフォームの構築も検討している。

c)M&Aアライアンスコンサルティング戦略
M&Aアライアンスコンサルティングでは、全国の金融機関約100先(支店で約5,000店)とのアライアンス(提携)を通じて、「成長M&Aコンサルティング」「スタートアップファーストコンサルティング」を開発、提供していくことにより、地域の中堅・中小企業(約150万社)の発展及び地域の活性化に取り組んでいく。

「スタートアップファーストコンサルティング」とは、スタートアップ企業や後継ぎベンチャー企業の支援及びこれら企業と同社顧客企業(主に中堅企業)を繋ぐサービス(買収・出資・協業)となる。前述したように、2020年度からオープンイノベーション促進税制が導入されることで、スタートアップ企業に対する出資等の動きは活発化することが見込まれ、同社にとってはビジネスチャンスになると予想される。具体的な取り組みとしては、2019年5月にグローバル・ベンチャーキャピタル/アクセラレーター大手のPlug and Play Japan(株)と「Brand & Retail」分野における「エコシステム・パートナーシップ」契約を締結し、2019年6月から同社のアクセラレーションプログラム※に参加し、国内外のスタートアップ企業とリレーションの構築を進めている。

※大手企業がスタートアップ企業との協業・出資を目的に、オープンイノベーションの一環として期間限定で実施するプログラム。


d)SPコンサルティング戦略
「業種×プロモーションテーマ」の観点で業務プロセスを見直し(分業化を推進し)、専門性の高いチームを組成して、顧客企業のプロモーション・ブランディングをワンストップでトータルに支援していく。

(2)コーポレート戦略
コーポレート戦略としては、「働き方・生産性改革投資」「人材採用・育成・活躍」をテーマに取り組んでいる。

a)働き方・生産性改革投資
社員の働き方を変え、生産性を高めることができるデジタル投資、オフィス投資を積極的に実施している。実行済みのものとしてテレビ会議システムの刷新やiPhoneの全社員支給等があり、現在実施中のプロジェクトとして、新ERPパッケージの導入(2020年4月稼働予定)、本社を含むオフィスのリニューアル、Webサイトの刷新、フレックスタイム制やテレワークの導入、AI研究(調査・パートナー企業選定・テスト導入)などがある。新ERPパッケージに関しては、CRMシステムの機能強化とMA(マーケティングオートメーション)ツールの連携による営業部門の生産性向上と、コンサルタントの業務効率化につながる機能が強化される予定となっている。また、今後予定しているプロジェクトとして、新潟支社の移転を当第4四半期に実施するほか、業務自動化システム(チャットボット、RPA)の導入に関しても検討を進めている。これら関連投資については2020年3月期がピークとなるが、減価償却費については横ばい水準で推移する見通しだ。

b)人材採用・育成・活躍
プロフェショナル人材の採用を強化し、「タナベFCCアカデミー」「ジュニアボード経営システム」の活用により、人材の早期育成・活躍が可能となる体制作りに取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 タナベ経営 Research Memo(8):中期経営計画は順調に進捗(2)