■要約

ランドコンピュータ<3924>は、半世紀近い社歴を持つ独立系中堅システムインテグレータである。政府は、超スマート社会「Society5.0」に向かい、全省庁のシステムをクラウドに全面移行することを決めた。ITシステムの刷新需要が、官民に跨り中長期的に拡大することが期待される。

1. 人財管理本部を新設
同社は2019年4月に人財管理本部を新設し、人財開発統括部に「人財開発センター」と「パートナー推進室」を設置した。人財開発に当たっては、所属部署だけでなく、等級や人間性などで横串的に見ている。また、協力会社の規模によっては独自の研修が困難であることから、新入社員向けだけでなくリーダー研修も同社と合同で行う配慮をしている。コアビジネスパートナーのスキルアップと連帯感を高めている。

2. 2020年3月期第2四半期に最高益を更新
2020年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比13.2%増の4,197百万円、経常利益が同26.0%増の243百万円と第2四半期の最高益を更新した。システムインテグレーション、インフラソリューション、パッケージベースSIのいずれのサービスラインも、2ケタ増収となった。なお、期初予想比では、売上高が6.6%増、経常利益が13.9%増となった。

2020年3月期通期予想は、前期比6.1%の増収、同5.9%の経常増益という期初予想を据え置いた。2020年3月期下期に、上期中に増加した仕掛品の売上計上を予定しており、不測の事態に陥らなければ、通期予想は堅めとなるだろう。

3. 「クラウドファースト」が民間から公共まで事業機会を拡大
米国より10年遅れていると言われる日本の公共部門のクラウドサービス利用への移行が本格化する。2018年6月に、各府省情報化統括責任者(CIO)の連絡会議は、政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針を決定した。基本方針を「クラウド・バイ・デフォルト原則」、すなわちクラウドサービスの利用を第一候補「クラウドファースト」とするものである。政府は2020年秋から4~8年かけて、全省庁のシステムを順次クラウドに移行する。政府の全面移行は、民間企業のクラウド化を一層後押しする。同社は、パッケージベースSI・サービスを中心にクラウドコンピューティング・サービスに注力しているが、今後はより幅広い業務に「クラウドファースト」を広げる意向だ。

■Key Points
・政府系システムのクラウドサービスへの全面移行
・2020年3月期第2四半期は、期初予想を上回り最高益を更新
・「掛け算」の効果を狙うM&Aを検討中

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ランドコンピュ Research Memo(1):「クラウドファースト」がシステム更新需要を活発化