■今後の見通し

● 2019年3月期の見通し
2019年3月期通期についてサイネックス<2376>は、売上高13,700百万円(前期比5.7%増)、営業利益620百万円(同20.7%増)、経常利益640百万円(同27.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益410百万円(同27.5%増)と増収増益を予想している。これらの予想値は期初予想から変更はない。

出版事業の収益構造として、『テレパル50』は年間1,000万部発行という基本ペースに従って同社独自のペースで作業が進められるため、収益変動要因はもっぱら『わが街事典』の進捗状況ということになる。この点、下期の『わが街事典』の発行自治体数を上期(第2四半期累計期間)並みの100自治体とみている。前年下期は上期からのずれ込み分があったため、共同発行件数が111に達した。それに対して今期は上期において計画どおり順調に進捗しているため、下期に発行件数が急伸する可能性は小さいとみている。通期ベースの発行件数は200となるが、これが実現すれば前期の195件を上回り近年では最も多い発行件数(自治体ベース)となる見込みだ。この想定を超えて下期も発行部数が伸びるようであれば利益上振れ期待も出てくる可能性があるが、『わが街事典』は制作から発行までのリードタイムが長いため、そうしたケースは起こりにくいとみている。

Web・ソリューション事業の下期は、ふるさと納税が需要期を迎えることがまず挙げられる。eコマース事業やトラベル事業については、今秋以後は天候も落ち着き気温も暖冬気味で推移していることから、この下期は順調な販売が期待される。これらの結果、今下期は前年同期比で増収増益となる可能性は十分あるとみている。しかしながら今第2四半期の収益の伸び悩みを補えるかどうかについては慎重にみている。第4四半期の天候などについては変動要素があることは否定できないためだ。ただ、そうした慎重な見方を前提とした場合でも、出版事業や不動産事業の伸長で全社ベースの業績計画は十分達成可能とみている。

ロジスティクス事業不動産事業については、事業の季節性は特になく、下期は基本的には第2四半期同様の傾向が続くとみている。ロジスティクス事業については下期も積極的な営業により売上高が伸長する可能性もあるが、利益面では第2四半期決算にみられたように、採算性の点で苦戦する状況が続く可能性があるとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 サイネックス Research Memo(6):出版事業、Web・ソリューション事業が伸長し、増収増益の見通し