■事業概要

イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・運営・販売等を主力としている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「その他」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立してきた。また、VR やAI、IoT 技術に着目した新規事業にも挑戦している。

「次のあたりまえを創る。何度でも」をミッションに掲げ、過去においては、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど数多くの小規模アプリを量産してきたことが、ノウハウの蓄積を含め、同社の成長を支えてきた。ここ数年は、それまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造改革に取り組み、収益の柱が育ってきた。

ネイティブアプリは、App Store 及びGoogle Play 等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されている。また、収益モデルは、創業当初は広告収入メインであったが、現在は課金収入がメインである。会員数の積み上げが安定的な収益基盤となるストック型事業の強化(安定運用)を図るとともに、VR やAI、IoTなど新たな成長分野において爆発力のあるビジネスの推進にも取り組んでおり、収益モデルの多様化を図っている。

事業セグメントは、主にスマートフォンアプリ事業であり、現時点においてはジャンルごとに「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「その他」の3つに分類している。

事業別の売上構成比では、「ぼくとドラゴン」による「ネイティブゲーム」が60.2%を占め、「コミュニティ」は32.2%、「その他」は7.7%となっている(2018年9月期第3四半期累計)。ただ、2本目の収益の柱となってきた「with」の成長により「コミュニティ」の構成比が高まる傾向にある。

1. 既存事業の概要
(1) コミュニティ
オンライン恋愛・婚活サービス「with」(男性のみ月額課金収入モデル)を中心に展開している。「with」は2016年3月にWeb版、iOS版をリリース※1して以来、類似サービスの中では後発参入であるものの、登録会員数は100万人を突破し、業界3番手グループ※2にまで伸びてきた。国内iOSのSNSの売上ランキングでも上位に位置している。人気メンタリストDaiGo(ダイゴ)氏※3監修のもと、最適なマッチングを実現する独自の心理学及び統計学的アプローチが差別化要因となっていることに加えて、積極的な広告宣伝によるユーザー獲得が奏功している。また、2018年7月末からは、これまでのFacebook認証だけではなくマルチログイン(SMS認証)※4機能を実装。それに伴って、足元での流入数はさらに大きく拡大しているようだ。

※1 Android 版は2016年5月にリリース。
※2 Facebook 認証型のオンライン恋愛・婚活サービス上位には、「Pairs」「Omiai」「ゼクシィ恋結び」などが存在する。
※3 メンタリスト、作家、新潟リハビリテーション大学特任教授。著書は累計150万部突破、企業の顧問や経営戦略パートナー、講演など、様々な分野で活動。
※4 携帯電話のSMS(ショートメッセージ)を用いた本人確認のための認証機能。


(2) ネイティブゲーム
2015年2月にリリースした「ぼくとドラゴン」(アイテム課金収入モデル)を展開している。リリースから3年を経過し、売上高は逓減傾向にあるものの、多彩なイベントや人気コンテンツとのコラボ、機能追加など、安定運営の継続により同社の業績の伸びを支えてきた。足元でも累計370万DLを突破するとともに、国内アプリストア売上ランキングでも6位(iOS版)を記録するなど、ロングセラーゲームとして息の長い収益貢献を続けている。一方、「ぼくとドラゴン」に続く新作ゲーム「メガスマッシュ」については、2018年3 月28日にiOS 版とAndroid 版を同時リリースしたものの、計画を下回る結果となりサービス停止を決定するに至った。

(3) その他
過去における小規模アプリのほか、2015年10月に買収した(株)U-NOTEのサービス(主に広告収入モデル)※などで構成される。「U-NOTE」は若手ビジネスパーソンにターゲットを絞り、リクルーティングサイトへの送客を軸としている。2017年1月にはキャリアに関わる様々な情報をカバーしたサービス「jobgram(ジョブグラム)(旧:U-NOTE.CAREER)」を開始し、ビジネス情報メディアサービス「U-NOTE」とキャリアサービス「jobgram(ジョブグラム)(旧:U-NOTE.CAREER)」の事業を展開。また、「jobgram(ジョブグラム)(旧:U-NOTE.CAREER)」については、有料職業紹介事業の許可を取得し、性格傾向データを活用した求人マッチングサービスや転職エージェントサービスをスタートさせている。ただ、本格的な収益貢献には時間を要する見通しである。なお、新規事業として挑戦しているVR 事業(エンターテインメント)やライフハック事業(IoTやフード関連など)についても、現時点では「その他」に含まれている。

※株式会社U-NOTEは2018年9月30日付でメディアサービスの一部『U-NOTE』を株式会社PR TIMESに譲渡しております。併せて2018年10月1日付で、社名を株式会社U-NOTEからグラム株式会社に変更しております。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 イグニス Research Memo(2):VRやAI、IoTに着目した新規事業にも挑戦(1)