■業績の動向

伊藤忠エネクス<8133>の2018年3月期決算は、売上高1,156,344百万円(前期比12.4%増)、営業活動に係る利益17,153百万円(同12.8%減)、税引前利益19,169百万円(同0.9%減)、当社株主に帰属する当期純利益11,025百万円(同6.0%増)で着地した。

営業活動に係る利益と税引前利益は前期比では減益となったが、これは後述するように事業再編の影響が大きい。再編影響がない当社株主に帰属する当期純利益は、前期比で増益を確保するとともに3期連続で過去最高を更新した。期初の会社予想との比較では、売上高と各利益項目のいずれもが予想を上回った。

売上高は原油価格の上昇を反映して製品価格が堅調に推移したことと、同社の取扱商材全般に販売数量が拡大したことで前期比12.4%増となった。販売数量については、ガソリンの販売量が需要減少や同社がCS数を削減した影響で前期比7.2%の減少となった以外は、電力販売量の前期比36.2%増を初めとして、主要製品がいずれも販売量を伸ばした。

利益面では、営業活動に係る利益は前期比12.8%(2,525百万円)の減益となった。セグメント別に見ると生活エネルギー・流通部門が2,245百万円の増益となったものの他の3部門が減益となり、全体を押し下げた形となっている。しかしながら、ホームライフ部門の減益は、大阪ガスとのLPガス事業再編に伴い、関東・関西・中部地区のLPガス事業の収益が下半期から連結を外れて持分法投資損益での取込みへと変わった要因が大きい。当社株主に帰属する当期純利益の段階では、生活エネルギー・流通部門とホームライフ部門が前期比増益となって他の2部門の減益をカバーし、全社ベースでは前期比増益を確保した。

2018年3月期のこうした事業構造の変革に照らすと、同社の収益力をより正確に表す指標として、今後は最終利益(当社株主に帰属する当期純利益)に注目していくべきであると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 エネクス Research Memo(2):市況安定化と事業構造改革により、過去最高益を更新