■業績動向

3. 2018年3月期の業績見通し
2018年3月期の業績見通しについて、Jストリーム<4308>は売上高6,100百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益350百万円(同4.8%増)、経常利益350百万円(同0.9%増)、親会社に帰属する当期純利益210百万円(同1.8%増)と見込んでいる。第2四半期の進捗や期ずれした案件を考慮すると、やや保守的な印象である。

同社は、2018年3月期の業績達成を目指して各種施策に取り組んでいる。配信事業では、ライブ配信で医薬向けWeb講演会の成長継続、サーバーサイドアドインサーション機能追加によるメディア業界への展開、J-Stream Equipmediaの企業内利用を軸に展開継続と基本機能やマーケットプレイスなどのサービス強化、J-Stream CDNextのSSLアクセラレーター導入やWordPressプラグイン※1など機能強化、ほかにSI体制強化のための人員増強——を計画している。制作・システム開発では、Web制作でのUI/UX※2プレイヤーの整備、汎用性の高いコンテンツマネジメントシステムの活用、映像制作で4Kなど高画質映像への対応強化、リモートバーチャルスタジオの強化による顧客層の拡大、システム構築では配信→制作→運用→分析とPDCAを回すワンストップ完結体制の構築——により差別化を図る考えである。広告関連では、動画広告でMovieADシリーズを展開するため、コンテンツ(広告在庫)確保と動画マーケティング支援のための広告メニューの整備を図り、新規事業は既存事業と親和性が高いものから順次展開を開始する方針である。これらにより、2018年3月期通期の単体の事業別売上高は、配信事業前期比10.0%増、制作・システム開発事業同3.9%増、広告関連同2.5倍増を目指す。

※1 WordPressプラグイン:コンテンツマネジメントシステムWordPressの機能を拡張するための追加のプログラム。
※2 UI/UX:ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス。


なお、子会社化したイノコスは、デジタルビデオ関連の機器ソリューションを提供する技術商社の側面と、IPサイマル放送※系のサービス基盤を提供するサービス事業者の側面を併せ持つ。サービス内容が同社と補完関係にあり、同社としては放送設備とIP配信関連技術を短期間でグループ内に取り込めるメリットがある。また、イノコスは多チャンネル事業者やCATV事業者とのつながりが強く、同社にとって営業面でも大きなプラスになる見込みである。

また、同社は先ごろ主力商品のJ-Stream Equipmediaのメニューを刷新した。高度な仕様へのニーズに対応しExpertエディションを追加、企業のライブ配信への関心の高まりに対応し全エディションでライブ機能を標準装備(iPhone/iPadで撮影した映像をそのままライブ配信できるiOSアプリのEQライブキャストも標準提供)、基本機能強化策としてストレージ容量の大幅増量などの基本機能強化——などがメニュー刷新の中身であり、より広範に顧客を取り込む意向である。

※IPサイマル放送:1つの放送局が電波放送と同内容のものをインターネット上で同時間帯に配信すること。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 Jストリーム Research Memo(10):2018年3月期は主力の配信と新規の広告に注力