■業績動向

1. 2017年9月期第2四半期累計の業績概要
アドバンスクリエイト<8798>の2017年9月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比2.4%増の3,887百万円、営業利益が同29.1%減の455百万円、経常利益が同27.9%減の452百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同11.8%減の331百万円と増収減益決算となった。また、期初会社計画比では四半期純利益を除いてそれぞれ若干下回った。

売上高については、2016年2月に日銀が導入したマイナス金利政策の影響で、学資保険や一時払い終身保険等の貯蓄性保険商品の販売が停止されたことや、代理店手数料率の相対的低下等、厳しい外部環境が続いたものの、Webマーケティング施策を強化したことにより、資料請求件数や商談件数が好調に推移し、保険代理店事業が増収になったほか、メディア事業や再保険事業も堅調に推移したことで増収を維持した。ただ、協業店を通じた販売が想定を下回ったことで、会社計画に対しては若干下回った。

利益面では、メディア事業、再保険事業が増益となったものの、保険代理店事業においてマーケティングコストや人件費等の営業費用が増加したことにより減益となった。四半期純利益については投資有価証券売却益51百万円を特別利益として計上したことに伴い、会社計画比では若干上回って着地した。

2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前年同期比1.8%増の3,438百万円、営業利益は同41.7%減の280百万円となった。前述したようにマイナス金利導入により、一部の貯蓄性商品が販売停止となった影響や、ボーナスインセンティブを含めた手数料率が低下したこと、マーケティングコスト及び人件費等の営業費用が増加したことなどが減益要因となった。第2四半期累計の営業利益で300百万円の水準を下回るのは2009年9月期以来のことであり、保険代理店業界の収益環境が厳しくなっていることがうかがえる。ただ、厳しい市場環境が続き同業他社が減収を強いられるなかで増収となったことは注目され、「保険市場」を通じた販売力の強さが改めて裏付けられる格好となった。

チャネル別の申込みANP※(新契約年換算保険料)で見ると、対面販売が前年同期比52.2%増、通信販売が同0.7%増、協業店が同4.1%増といずれも増加し、合計では同25.5%増となった。また、2017年3月末の保有契約件数は、前年同期比で5.1%増の496千件と引き続き5%前後の成長を続けている。当期はSNS等を活用したWebマーケティング施策に取り組んだことで、「保険市場」へのアクセス数増加とともに資料請求件数やアポイント数などが前年同期比で増加したことが申込みANPの増加につながった。

※ANP(Annualized New business Premium):新契約年換算保険料の意味で、月額保険料が5,000円の場合、ANPは6万円となる。


対面販売については、利回りが相対的に高い外貨建ての終身保険を積極的に販売したことが奏効した。また、生産性向上施策により当第2四半期(2017年1月-3月)における1人当たりANPについても前年同期比42.1%増と大きく伸長している。一方、協業店については想定を下回る伸びとなった。2016年春の改正保険業法施行によって、提携先では業務工程数の増加に伴い、生産性が一部低下している店舗もあるようで、その影響が出たものと考えられる。

同社では改正保険業法の施行に合わせて、ここ2〜3年で提携先の絞り込みを進めており、2017年3月末の提携代理店社数は124社(前年同期比23社減)に減少した。提携先については現在も個人情報管理等のセキュリティ体制を中心に監査法人と共同で定期的な検査を実施しており、基準を満たさない提携先については絞り込みを進めていく方針となっている。

(2) メディア事業
メディア事業の売上高は前年同期比0.5%増の432百万円、営業利益は同4.0%増の107百万円と堅調に推移した。保険販売の市場環境が厳しくなるなかで、改めて「保険市場」の媒体価値の高さが評価され、保険販売代理店だけでなく保険会社を含めて広告出稿が堅調に推移した。また、保険会社向けにSEO対策などのコンサルティングやリスティング運用サービスなどの引き合いも最近では増えている。

(3) 再保険事業
再保険事業の売上高は前年同期比8.1%増の336百万円、営業利益は同15.6%増の66百万円と順調に推移した。引受保険会社数は前年同期から1社(生命保険会社)増加の11社となり、再保険の契約額が着実に増加していることが増収増益要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 アドクリ Research Memo(3):マイナス金利の導入や手数料率の低下が響いて増収減益に