■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画(3ヶ年)を公表
三栄コーポレーション<8119>は、2018年3月期を初年度とする3ヶ年の数値目標を開示した。これまでは売上高での目標設定であったが、今回は「20億円以上の安定的な経常利益」と利益を指標とした。近年収益力に自信を深めていることが背景にあると思われる。最終年度の2020年3月期に経常利益で2,600百万円を目指す。

重点項目としては、5つである。

(1) 新たなチャレンジ
OEM事業では、国内外で新顧客開拓を積極化する。ブランド事業においては、M&Aを含めブランドを強化し、多層的ビジネスモデルを構築することを掲げる。
(2) ローコストオペレーションの徹底
OEM事業の価格競争を勝ち抜くために、継続的な販管費の低減を行う。
(3) グループシナジーの更なる創出
特に国内関係会社9社の共同体制を強化する。
(4) 人事戦略の推進
外部のコンサルタントも活用し、適材適所の人事制度を構築する。
(5) 「攻めのガバナンス」
基幹システムをSAPに統一するプロジェクトをスタートしており、数年かけて国内外のグループ会社で導入し、効率化とともにリスク管理を強化する。

安定して20億円以上の利益を上げるためには、筋肉質な体制構築が不可欠であるとの判断で、システムや制度作りに思い切った投資を行う。

2. ブランド製品の海外販売をスタート
同社は、海外の拠点で製造した製品を、海外顧客(欧米、中国など)向けに輸出するというパターンの取引を得意とする日本の商社の中でも稀有な存在である。特に、OEM事業でこのパターンが多かったが、ブランド事業においても海外市場開拓がスタートした。2016年に、調理家電ブランドVitantonio(ビタントニオ)を香港及び台湾で販売開始した。2017年4月からは理美容機器ブランドmod's hair(モッズヘア)のヘアアイロン5機種を台湾市場で販売し始めた。販路は専門店、家電量販店、ドラッグストア、通販、主要ECサイト(台湾の主要3サイト)など約500店を既に確保し、向こう3年間で倍の1,000店以上での取扱いを目指す。海外でのブランド認知を向上させ、事業全体のバランスをとる上でも海外市場開拓を強化する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



<NB>

情報提供元: FISCO
記事名:「 三栄コポ Research Memo(7):3ヶ年中期経営計画を初公開、「20億円以上の安定的な経常利益」を目標に掲げる