■要約

宇徳<9358>は、重量物輸送の先駆けとして1890年(明治23年)に創業以来、港湾荷役、物流、プラント建設等「運ぶ」に関連する多様なサービスを様々なフィールドで提供している。商船三井<9104>グループ企業としてコンテナターミナルオペレーターを担当する。2017年3月期の営業収入の内訳は、港湾事業が45.9%、プラント・物流事業が53.1%、その他が1.0%であった。ROE、ROAとも8%を超えており、収益性と資産効率のバランスが良く、財務の安全性も高い。2016年10月に、商船三井グループの物流会社から一部事業譲受をしており、今期は一体運営で効率の改善など物流事業の内部固めに注力する。

1. 2017年3月期の業績動向
2017年3月期の業績は、全体はほぼ予想どおりだが、事業別で差異が出た。営業収入は前期比7.6%増、経常利益は1.7%減となった。港湾事業では、コンテナ貨物の取扱量が東京港、横浜港ともに大幅に伸長した。自動車輸出の車両取扱も、北米向けが好調だった。ただし、港湾事業の予想以上のパフォーマンスが、プラント・物流事業の不振で相殺されてしまった。

2. 邦船3社のコンテナ船事業の統合
邦船3社のコンテナ船事業は、2017年7月に統合新会社を設立し、来年4月から新体制の営業が始まる。2017年3月期下期に荷動きが活発化し、運賃水準も回復したことから、通期の3社のコンテナ船事業の経常損失は770億円と想定した水準よりも200億円少なく済んだ。事業統合によるシナジー効果は、スケールメリットとコスト削減により年間1,100億円を見込んでいる。

3. 2018年3月期の業績見通し
今期の予想は、営業収入が前期比10.5%増、経常利益は5.2%減を見込む。港湾事業は、前期に予想以上の好パフォーマンスであったため、今期予想は抑え気味にした。一方、想定外の減益となった物流は、内陸型物流センターという新しい形態に不慣れなため費用がかさんだ。今期は、町田物流センターの特性に適したオペレーションを進める。また、前期央に事業譲受した(株)ジャパンエキスプレス(以下、JEX)は、本年4月から事業を一体運営をすることで効率の改善を目指す。今期は、物流事業の内部固めに注力する。

■Key Points
・2017年3月期は、ROE、ROAとも8%超
・2017年3月期の業績は、全体はほぼ予想どおりだが、事業別で差異が出る
・物流事業は、内部固めにより収益の改善を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 宇徳 Research Memo(1):物流事業の内部固めに注力する