■要約

1. 会社・事業概要
テラスカイ<3915>は、国内クラウド市場をけん引するクラウド・インテグレーターである。セグメントは、クラウドを活用した最適なシステム開発の支援・受託開発を行うソリューション事業と、クラウドに特化したサービスを開発・提供する製品事業の2つ。売上高の内訳は、ソリューション事業が80%、製品事業が20%、営業利益ではソリューション事業が66%、製品事業が34%(調整額は除く)で、Salesforce. com関連の売上高が全体の79%、Amazon Web Services(以下、AWS)が21%を占める。これまで2,500件以上のクラウド導入実績があり、認定資格取得者数が国内トップクラスなどエンジニアの数・質の両面で定評があるなど企業からの案件が集積しやすい。数多くの案件を経験することでノウハウや知見が同社や同社のエンジニアに蓄積され、さらに案件を集めやすくなるという好循環を形成している。クラウド・コンピューティングへのシフト需要は旺盛で、ポテンシャルが高い業界において同社は競争優位性のあるポジションに位置していると言える。

2. 2017年2月期決算
2017年2月期連結業績は、売上高が前期比42.5%増の3,534百万円、営業利益が同22.2%減の202百万円。セグメント別では、ソリューション事業の売上高が同47.6%増の2,819百万円、営業利益は同9.5%減の407百万円。製品事業の売上高は、同25.4%増の714百万円、営業利益は同6.6%増の208百万円となった。製品事業では、Salesforce市場の拡大により同社製品の利用が増加したのに伴い大きく増収となり、新製品の「mitoco(ミトコ)」のプロモーション費用や製品事業部の人員増などの減益要因を補って増益で着地した。一方、ソリューション事業は、引き続き引き合いが多く、大型案件の増加や既存の改修ニーズの増加で47.6%の大幅増収となったものの、エンジニアの採用加速や、外注費の増加、特定開発案件の長期化などによって減益での着地となった。

3. 2018年2月期会社業績予想
2018年2月期の会社連結業績予想は、売上高が前期比42.7%増の5,044百万円、営業利益は同6.4%増の215百万円。事業の拡大による安定急成長を維持し、引き続き大幅増収を予想している。増益幅が小幅にとどまっているのは、新製品の開発、人材採用の加速などで費用の増加を見込んでいるためである。セグメント別の売上高は、ソリューション事業が前期比44.7%増の4,078百万円、製品事業が同35.3%増の966百万円となっている。

4. 2020年2月期に経常利益10億円を目標、現在は投資フェーズ
中期経営方針で、2020年2月期に連結経常利益10億円目標を掲げている。ただし、現在は投資フェーズとしており、売上高の規模は拡大を続けるが、エンジニアの採用や開発などにも積極的に投資を行うため、利益額及び利益率の拡大は2021年2月期以降になるようだ。

■Key Points
・国内クラウド市場をけん引するクラウド・インテグレーター。ソリューション事業と製品事業を擁する。
・2017年2月期連結売上高は前期比42.5%増となったものの、営業利益はエンジニアの採用加速、外注費の増加、特定開発案件の長期化などによって同22.2%減で着地。2018年2月期の会社業績予想は、売上高が前期比42.7%増、営業利益は同6.4%増。
・2020年2月期に経常利益10億円を目標として掲げている。現在は投資フェーズにあり、利益の追求は目標達成後に。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 テラスカイ Research Memo(1):クラウド・インテグレーターの雄として成長続く