■中長期の成長戦略

3. 成長戦略:定額制販売の強化
定額制販売は、もともと素材を大量に低価格で使いたいヘビーユーザーを意識して2014年に開始された料金プランだ。ピクスタ<3416>が定額制販売の拡大を志向するのは、収入面での安定化に加え、原価率の低下につながるというメリットがあるためと考えられる。すなわち、売上総利益率の上昇につながるということだ。

現状は、前述のように実質的には37,800円/月(25ダウンロード・1ヶ月更新の場合。ダウンロード数、更新タイミングで料金プランの選択可能)のワンプライスメニューでの展開となっている。同社の契約は個人にアカウントを付与する方式であるため、法人顧客において複数の担当者がアカウントを保有して利用できるマルチアカウント契約もある。

定額制販売については開始以降順調に契約数が伸びている一方で、現状提供されているメニュー以外に、もっと大量に素材を使いたい、逆にもっと小さなパッケージを販売してほしいといった顧客の要望が顕在化してきている。今後、こういったニーズに合わせて新たな料金プランを増やすことで顧客満足度を向上させつつ同社自身の収益増につなげていくというのが、定額制販売強化による成長戦略の骨格だ。

現時点では新料金プランを作成中であるため、詳細について開示はしていないが、ダウンロード数の少ない小さなプラン、ダウンロード数や利用規模の多い大きなプラン両方を充実させていく予定とのことだ。

弊社では、定額制販売の拡大は確実に収益性安定性の増大につながるため、その強化方針にはまったく異論はない。気を付けるべきは料金プランが、顧客と同社の双方にとってWin-Winとなるかどうかにあるとみている。『PIXTA』が日本をテーマとする素材で他社を圧倒するまでに成長した現状を生かして、1)そのアセット(資産)を安売りすることなく、かつ、顧客が定額制販売契約を採用・継続するインセンティブが感じられるような料金プランを打ち出せるかどうか、2)その結果として定額制販売売上高が計画どおりに拡大していくかどうか、の2点について注目していきたいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



<TN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 ピクスタ Research Memo(9):定額制販売の拡大は収益安定性増大と原価率低減に貢献と期待