■事業概要

1. 事業モデル
ピクスタ<3416>の主たる事業は、“デジタル素材のマーケットプレイス『PIXTA』の運営”だ。PIXTAというインターネット上に開設された市場に、クリエイター(素材提供者)から多くのデジタル素材(写真、イラスト、動画)を集め、それらを必要としているユーザー(法人・個人)に販売するというものだ。同社は投稿された素材のうち、実際に販売された素材について、クリエイターに対して報酬(コミッション)を支払う。

(1) デジタル素材の仕入とコミッション
商材であるデジタル素材は、プロフェッショナル及びアマチュアのクリエイターからの投稿によって成り立っている。同社がクリエイターに支払うコミッションは、クリエイターの登録状況や販売実績などによって、販売価格の22%~58%の範囲に設定されている。以上は単品販売の場合であり、定額制による販売の場合や、当該素材について購入者がエクストラ・ライセンスで購入した場合には、別のコミッション率が適用される。

(2) ユーザーと料金プラン
PTXTAのユーザーは法人がメインだが、広告代理店やデザイン制作会社、マスメディアから一般企業、フリーランスなどの個人まで幅広い。用途は、法人では広告制作(Web、リアル)や商品デザイン、パンフレット、書籍、TV番組などさまざまだ。個人はホームページやプレゼン資料等での利用のほか、毎年年末にかけて年賀状素材の利用も多くみられるという。

料金プランは大きく2つだ。1つは“単品販売”で、利用者が1点ごとに購入する形式だ。もう1つは“定額制販売”で、月次(30日)更新と1年更新を選択でき、さらに最大購入(ダウンロード)数でも選択が可能となっている。

競合他社の例を見ると、定額制販売は各社とも採用しているが、海外勢は複数素材のパック料金を採用しているケースが多く単品販売のケースは少ない。価格水準では、全体的には同社が最も割安な水準にあると弊社では判断している。単品販売と併せて、一般企業や個人などのライトユーザーにとっても最も利用しやすい価格・プラン設定と言える。

(3) コスト構造
同社のコスト構造は、基本的にはeコマース(EC)のそれだと弊社では理解している。すなわち、売上高の拡大に比べて費用の増加のペースは緩やかであり、売上高が一定のラインを超えると利益率が急速に拡大するという構造だ。

同社の費用構造を見ると、仕入原価はクリエイターへのコミッションであり、これは変動費的性格を持つ。コミッション率が低下基調にある背景には、途中でコミッション率の改定を行ったことと、定額制利用者数が増加してきていることがある。コミッション率はクリエイターの投稿数にも影響するため、極端に絞り込むのは難しいと思われるが、定額制利用者数の増加が続けば、今後も仕入原価の構成比の低減基調は継続すると弊社ではみている。後述するように、同社は定額制販売の拡大を成長戦略の1つに位置付けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ピクスタ Research Memo(2):デジタル素材のマーケットプレイス『PIXTA』を運営