27日の日経平均は3営業日続伸。379.30円高の26871.27円(出来高概算11億株)で取引を終えた。米消費関連統計の低迷により米国の利上げが想定よりも緩やかになるとの思惑から景気後退への警戒感が和らいだことが好感された前週末の米国株の動きを受けて、半導体や電子部品などテック銘柄中心に買いが先行して始まった。朝方は米株先物が軟調だったことで、伸び悩む場面もあったものの、午後に入り、同先物がプラスに転じると、再び買い気が強まり、後場中盤には26938.43円まで上げ幅を広げる場面があった。ただ、25日線が抵抗線として意識されたほか、心理的な節目である27000円を目前に強弱感は対立しやすく、買い一巡後は日中の高値水準でのもみ合いが続いていた。

東証プライムの騰落銘柄は、値上がり銘柄が1300に迫り、全体の7割を占めた。セクターでは、海運、鉱業、機械、電気ガス、パルプ紙、電気機器など28業種が上昇。一方、不動産、ゴム製品、陸運、銀行、空運の5業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、東エレク<8035>、ファナック<6954>、信越化<4063>、アドバンテス<6857>が堅調だった半面、KDDI<9433>、花王<4452>、アステラス薬<4503>が軟調だった。

米ミシガン大学が24日発表した6月の景気信頼感指数で、長期の期待インフレ率の確報値が速報値から0.2ポイント低下したことで、米金融政策の引き締めペースが現在の想定よりも緩やかになるとの見方が強まった。ナスダック指数、SOX指数はともに3%超の大幅高となった。東京市場でも足元で弱い値動きが続いていたハイテク関連株中心に値を上げる銘柄が増加。また、利上げペースの鈍化への思惑から米国のリセッションに対する警戒感も幾分やわらいでいるため、景気敏感セクターにも投資マネーが向かうなど総じてリスク選好ムードが強まり、日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。

日経平均は、ひとまず大幅に続伸した。ただし、米国の金融政策に対する見方に左右されるケースが多いだけに、戻りが本格化するかは疑問といった不安感が残っているだろう。米国市場は引き続き経済統計と金融当局からの発言に左右される展開が続くだろう。このため、30日の5月のPCEデフレーターに注目する投資家が多く、同指標とそれを受けた米国市場の動向には警戒が必要だ。また、テクニカル的にみても、日経平均は上値のめどとみられる25日線に接近してきており、達成感が意識されやすい半面、早期に上抜けてくれば、戻りにも弾みが付くと考えられ、強弱感は対立する。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 米景気の後退懸念が和らぎ、ハイテク主導で買い戻しの動きが強まる【クロージング】