9日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

■株式見通し:ソフトバンクGや値がさハイテク株の動きを睨みつつ、決算を手掛かりとした個別物色に
■ソフトバンクG、2Q純利益80.7%減 3635億円、1兆円上限の自社株取得枠設定
■前場の注目材料:ダイヘン、世界最速級のウエハー搬送ロボ、半導体供給増に貢献


■ソフトバンクGや値がさハイテク株の動きを睨みつつ、決算を手掛かりとした個別物色に

9日の日本株市場は、買い先行で始まった後はこう着感の強い相場展開になりそうだ。8日の米国市場はNYダウが104ドル高だった。すでに上院通過済みの超党派のインフラ案を議会下院が週末可決したことに加えて、ワクチン接種完了者などに対する入国規制の緩和で、景気回復期待が高まった。また、連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長を始め高官がイベントで、高インフレがいずれ鈍化するとのハト派的な見解を繰り返したため低金利が当面継続するとの見方も手伝い、終日堅調に推移した。シカゴ日経225先物清算値は大阪比195円高の29685円、円相場は1ドル113円20銭台で推移している。

シカゴ先物にサヤ寄せする格好から買い先行で始まろう。米国市場ではインフラ法案可決を好感した流れから恩恵を受けると見られている銘柄が買われているほか、低金利政策が当面続くとの見方もあって、半導体株の一角が買われており、AMDは10%を超える上昇を見せていた。東京市場においても東エレク<8035>など指数インパクトの大きい値がさハイテク株への支援材料になりそうだ。

また、指数インパクトの大きい銘柄としてはソフトバンクG<9984>の動向が注目される。昨夕に第2四半期決算を発表し、純利益は前年同期比8割減だった。ビジョン・ファンドで投資する中国企業の株価下落が影響した格好であり、発表直後はPTSで売られる場面が見られていた。ただし、1兆円を上限とする自社株買いの発表もあってADRでは買われており、ボトム圏で推移する同社の反発が見られるようだと、日経平均のけん引役になろう。

もっとも、週末まで多くの企業決算が控えていることもあり、買い一巡後はこう着感が強まりやすく、ソフトバンクGや値がさハイテク株の動きを睨みつつ、決算を手掛かりとした個別物色の流れになりそうだ。また、米国のインフラ法案可決を受けて、コマツ<6301>や信越化<4063>などへの波及が見られてくるようだと、センチメントを明るくさせよう。

■ソフトバンクG、2Q純利益80.7%減 3635億円、1兆円上限の自社株取得枠設定

ソフトバンクG<9984>は第2四半期決算を発表。売上高は前年同期比13.4%増の2兆9835.04億円、純利益が同80.7%減の3635.69億円だった。ビジョン・ファンドで主に中国の投資先企業の株価が下落し、業績の足を引っ張った。保有株式の価値から純有利子負債を差し引いた純資産価値(NAV)は2021年9月末時点で20兆9000億円。1兆円上限の自社株取得枠設定しており、発行済みの14.6%となる。


■前場の注目材料

・NYダウは上昇(36432.22、+104.27)
・ナスダック総合指数は上昇(15982.36、+10.77)
・シカゴ日経先物は上昇(29685、大阪比+195)
・SOX指数は上昇(3803.33、+46.78)
・米原油先物は上昇(81.93、+0.66)
・大型経済対策への期待
・日銀は金融緩和を長期化
・株価急落時の日銀ETF買い


・ダイヘン<6622>世界最速級のウエハー搬送ロボ、半導体供給増に貢献
・住友ベークライト<4203>台湾で半導体封止材倍増、月産1400トン
・サイバーダイン<7779>米リハビリ医療会社買収、HAL本格展開狙う
・JUKI<6440>JUKIなど3社、工業用ミシンの共同出資会社を設立
・豊田通商<8015>新事業に3.5兆円、半分を脱炭素関連に投資
・いすゞ<7202>北米にEVトラック投入、30年めど、環境規制商機に
・ジェイテクト<6473>ギ酸の燃料電池開発、機能実証機
・エンシュウ<6218>25年度に非自動車・EV売上比率8割、商社で汎用機拡販
・三菱電機<6503>FA事業で25年度売上高8000億円、新中計発表
・富士フイルム<4901>医療AIで新興国開拓、診断効率化、医師不足補う
・協和キリン<4151>協和キリンなど3社、RNA標的薬で共同研究
・エーザイ<4523>認知症でデジタルガレージと協業
・東洋紡<3101>繊維事業グループ会社再編、収益力・資産効率向上
・ユニチカ<3103>ナイロン6樹脂開発、CNF含有で高剛性実現


☆前場のイベントスケジュール

<国内>
・08:30 9月毎月勤労統計・現金給与総額(前年比予想:+0.6%、8月:+0.6%)
・08:50 9月経常収支(予想:+1兆523億円、8月:+1兆6656億円)

<海外>
・特になし <ST>
情報提供元: FISCO
記事名:「 前場に注目すべき3つのポイント~ソフトバンクGや値がさハイテク株の動きを睨みつつ、決算を手掛かりとした個別物色に~