[ロンドン市場概況]


16日のロンドン外為市場で、ドル・円は106円68銭から105円71銭まで下落した。米FRBの大幅な緊急追加利下げや日銀の追加緩和決定にも、欧米での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、欧州株や米株先物が大幅安となり、米10年債利上げも低下したことから、ドル売り、円買いが優勢になった。


ユーロ・ドルは1.1237ドルまで上昇後、1.1143ドルまで下落。ユーロ・円は119円34銭から118円09銭まで下落した。


ポンド・ドルは1.2374ドルまで上昇後、1.2260ドルまで下落。ドル・スイスフランは0.9392フランから0.9466フランでもみ合った。

[経済指標]
・特になし

[要人発言]
・ベイリー英中銀総裁
「必要に応じ速やかに追加措置をとると約束」

[ニューヨーク市場寄付]

・ドル・円105円71銭、ユーロ・ドル1.1186ドル、ユーロ・円118円24銭、ポンド・ドル1.2519ドル、ドル・スイス0.9428フラン。

[ニューヨーク市場概況]

16日のニューヨーク外為市場でドル・円は105円15銭まで下落後、106円47銭まで上昇して105円96銭で引けた。

米連邦準備制度理事会(FRB)による大規模緩和の発表や米国の3月NY連銀製造業景気指数がマイナス成長に落ち込んだためドル売り優勢で始まった。その後、新型肺炎を巡る米国政府の会見で財政支援策の発表を期待するドル買いが再燃。しかし、トランプ大統領が新型肺炎の長期化の可能性を警告すると上値が抑制された。

ユーロ・ドルは、1.1201ドルから1.1094ドルまで下落して1.1173ドルで引けた。

イタリアやスペインが全土封鎖を発表するなど、域内経済の一段の悪化懸念がユーロ売り圧力となった。

ユーロ・円は117円15銭まで下落後、118円63銭まで上昇。リスク回避の円買いが加速した。

ポンド・ドルは1.2342ドルから1.2202ドルまで下落。

ドル・スイスは0.9416フランから0.9499フランまで上昇した。スイス国立銀行によるフラン高是正介入への警戒感にフラン売りが優勢となった。

[シカゴVIX指数:株式投資家の恐怖心理の度合いを示す指数]

83.69←57.83日中最大83.56 最大08年89.53:62.12、過去最低17年8.56

[原油市場概況]


16日のNY原油先物は下落。世界経済の悪化で需要鈍化懸念に売りが加速し、2016年初めの安値を更新した。

[株式市場概況]


米国株式相場は大幅下落。ダウ平均は2997.10ドル安の20188.52ドル、ナスダックは970.28ポイント安の6904.59ポイントで取引を終了した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が週末に緊急追加利下げでゼロ金利政策に踏み切り、量的緩和を再開することを発表したものの、大規模緩和が逆に投資家の恐怖感に繋がり寄り付きで「リミットダウン」となり一時取引が停止。過去2週間で3回目の「サーキットブレーカー」発動となった。トランプ大統領が会見で、新型コロナウイルスによる危機が7-8月頃まで継続する可能性を警告すると、下げ幅を一段と広げ安値圏で引けた。セクター別では消費者サービス、銀行が大幅下落。家庭・パーソナル要因や食・生活必需品小売りの下げは最小にとどまった。

大手石油会社エクソンモービル(XOM)は格付会社S&Pが同社の格付を当初のAA+からAAに引き下げ、見通しを「ネガティブ」に据え置いたため、下落。欧米の旅行規制を受けて、航空会社大手アメリカン航空(AAL)、ユナイティッド航空(UAL)は相場変動が激しく取引が中断。米国航空会社は政府に500億ドルの支援を求め、さもなければ年末までに資金が枯渇すると警告し、下落した。一方、家庭用消費財メーカーのクロロックス(CLX)はアナリストによる投資判断引き上げが好感され、上昇した。

ゴールドマンサックスは米国の第2四半期の国内総生産(GDP)が5%のマイナス成長に陥ると警告した。

[通貨オプション]


ドル・円オプション市場で変動率は上昇した。リスク警戒感を受けたオプション買いが再燃し、変動率は金融危機が発生した2008年以来の高水準での推移となった。

リスクリバーサルでは円コールスプレッドが拡大。ドル・円下値をヘッジする目的の円コール買いが後退し1カ月物、3カ月物は2008年来で最大となった。

■変動率
・1カ月物16.86%⇒21.81% (08年10/24=31.044%)
・3カ月物13.41%⇒16.60%(08年10/24=31.044%)
・6カ月物11.53%⇒13.82%(08年10/24=25.50%)
・1年物10.12%⇒11.68%(08年10/24=20.00%、21.25%=98年10月以来の高水準)

■リスクリバーサル(25デルタ円コール)
・1カ月物+8.4%⇒+9.68%(08年10/27=+10.90%)
・3カ月物+7.72%⇒+8.91%(08年10/27=+10.90%)
・6カ月物+7.2%⇒+7.98%(08年10/27=+10.71%)
・1年物+6.13%⇒+6.90%(08年10/27=+10.71%)

[経済指標]

・米・3月NY連銀製造業景気指数:‐21.5(予想:5.1、2月:12.9)
・米・1月対米証券投資・長期有価証券(株式スワップ等除く):+209億ドル(12月:
ネット長期有価証券+856億ドル)
・米・1月対米証券投資全体:+1229億ドル(12月:+787億ドル←+782億ドル)

[要人発言]
・トランプ米大統領
「10人以上の集まりを回避することを推奨」
「コロナ危機は8月まで継続する可能性も」
「市場にできることは、この危機を乗り越えること」
「米国は航空会社を100%支援する」

・クドロー国家経済会議(NEC)委員長
「政府は国民に現金を供給することを検討する可能性も」
「政府は航空業界支援策をまとめている」

・ムニューシン米財務長官「危機が終了したら繰延需要」

・G7首脳
「新型肺炎、世界経済の主要リスクを生むと認識」
「世界の貿易、投資を支援」
「新型肺炎への対処で研究で協力」
「信頼、成長を回復し、雇用を保護することに努める」
「金融・財政策を総動員」

・トルドー加首相
「カナダ、国境閉鎖へ、米国市民や航空乗務員を除く」

[東京市場終値-ニューヨーク市場終値]

・為替市場:       (始値) (高値) (安値) (終値)
・ドル・円         106.60   106.68   105.15   105.96
・ユーロ・ドル      1.1180   1.1237   1.1094   1.1173
・ユーロ・円       119.18   119.34   117.15   118.38
・ドル・スイス      0.9439   0.9499   0.9392   0.9471
・ポンド・ドル      1.2317   1.2374   1.2202   1.2267
・株式市場:
・NYダウ         20917.53 21768.28 20116.46 20188.52
・ナスダック       7392.73  7422.20  6882.86  6904.59
・債券市場:       (始値) (終値)
・米国債 2年物       0.299   0.363
・米国債10年物       0.642   0.721
・米国債30年物       1.296   1.288
・先物市場:
・NY金先物         1478.48   1519.30  1450.90   1486.5
・NY原油先物        29.17    30.42    28.10     28.70




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情報提供元: FISCO
記事名:「 トランプ米大統領が新型ウイルス危機の長期化を警告、ドル軟調105.15円