21日の日経平均は続落。109.99円安の23038.58円(出来高概算13億4000万株)で取引を終えた。米中通商協議が年内に第一段階の合意もできない可能性が報じられたことが嫌気され売りが先行。その後も米上下院で香港人権法案を可決したが、トランプ大統領は同法案に署名する見通しと伝えられると、報復を明言している中国と真っ向から衝突することになり、米中貿易合意が危うくなる可能性があるとして下落幅を拡大。日経平均は支持線として意識されていた23000円を割り込むと、一時22726.71円まで下落幅を拡大させる局面もみられた。しかし、その後は中国の劉鶴副首相が、第1段階の合意に「慎重ながらも楽観的」と伝わると、買い戻しの流れが強まっている。また、日銀のETF買い入れへの思惑等もあってか、大引けにかけて下げ幅を縮めており、23000円を回復して終えている。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり値下がり数が、ほぼ拮抗。セクターでは、電力ガス、不動産、ゴム製品、建設、精密機器、その他金融、サービスがしっかり。半面、海運、非鉄金属、パルプ紙、保険、倉庫運輸、金属製品が冴えない。指数インパクトの大きいところでは、東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、ソフトバンクG<9984>、ファナック<6954>、TDK<6762>が軟調。一方で、KDDI<9433>、ファーストリテ<9983>、テルモ<4543>、第一三共<4568>が下支え。

日経平均は心理的な支持線だった23000円を割り込むと、25日線も割り込み、下落幅は一時400円を超える局面もみられた。しかし、その後の急速な戻りをみると、これまでの弱気なセンチメントの巻き戻しでショートカバー優勢で上昇していたこともあり、依然として需給はショートである中、調整局面では買い戻しの流れが強まっているようである。日経平均は結果的には寄り付き水準まで戻しており、25日線レベルを回復。長い下ヒゲを残しており、調整局面での押し目買い意欲の強さが窺える。

また、需給面においても前日に10月9日以来の日銀のETF買い入れが入っていたこと、12月前半にかけては9月配当分の再投資といった需給要因もあり、下げづらい需給状況の中、本日のように大きな調整がみられる局面では、買い戻しの流れが強まりやすいだろう。本日の下ヒゲを打ち消す格好での調整となれば流石に不安感が強まるだろうが、下ヒゲを残す動きが続くようだと、買い戻したい向きの価格切り上げも意識されてくる。



<CN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 調整局面で買い戻したい存在を確認【クロージング】