27日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は大幅反発、上げ幅ほど良好なムードではないか
・ドル・円はじり安、米長期金利の低下が売り誘発
・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はソフトバンクG<9984>

■日経平均は大幅反発、上げ幅ほど良好なムードではないか

日経平均は大幅反発。248.29円高の20509.33円(出来高概算4億5000万株)で前場の取引を終えている。

週明け26日の米株式市場でNYダウは反発し、269ドル高となった。トランプ大統領が主要7カ国首脳会議(G7サミット)で中国との貿易協議の再開に前向きな姿勢を示し、米中摩擦への警戒感が和らいだ。円相場は一時1ドル=106円台まで下落。本日の東京株式市場もこうした流れを引き継いで買い戻しが先行し、日経平均は206円高からスタートすると、前場には20529.94円(268.90円高)まで上昇する場面があった。ただ積極的な売買は手控えられ、ややこう着感の強い展開だった。ここまで日経平均の上下の値幅は90円ほど。東証1部の値上がり銘柄は全体の8割強、対して値下がり銘柄は1割強となっている。

個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が3%近く上昇したほか、日経平均寄与度の大きいファーストリテ<9983>、値がさハイテク株のキーエンス<6861>や東エレク<8035>が堅調。その他売買代金上位も任天堂<7974>、トヨタ自<7203>など全般しっかり。一部証券会社のレーティング引き上げが観測されたSUBARU<7270>、パチスロ新機種への期待が高まったセガサミーHD<6460>は5%超上昇した。また、経営再建中でトップ人事を発表した曙ブレーキ<7238>などが東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、傘下のリクルートキャリアが個人情報保護委員会から是正勧告を受けたリクルートHD<6098>や、やはり傘下の楽天モバイルが携帯電話基地局の整備遅延から行政指導を受けた楽天<4755>がさえない。また、このところ賑わっていた中小型株に利益確定の売りが広がり、KLab<3656>やenish<3667>が東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、機械、海運業、輸送用機器などが上昇率上位で、その他も全般堅調。保険業のみ小幅に下落した。

米中の追加関税の応酬で前日に449円安となった日経平均だが、トランプ氏が一転して協議再開を表明し、本日は200円を超える上昇で前場を折り返した。26日の空売り比率(東証)は49.1%に急上昇しており、本日は株価指数先物とともに幅広い銘柄に買い戻しが入ったとみられる。ただここまでの東証1部売買代金は7500億円弱にとどまっており、日経平均の日中値幅も小さく、追随する動きは限られるようだ。NYダウが23日の623ドル安に対し、26日の269ドル高と半分も戻せなかったことを踏まえるとやむを得ないだろう。トランプ氏の発言に大きく振らされる相場が続き、投資家の警戒感は強そうだ。

前日の日経レバETF<1570>が活況だったため、本日の引けにかけて先物買い需要への思惑が広がる可能性もあるが、上値では個人投資家による利益確定の売りも出てくるだろう。株式相場の先高感が高まらず、資金の足は速いとみられる。マザーズ指数は逆行安で、アンジェス<4563>がストップ安を付けており、比較的活発だった中小型株物色の流れに水を差す可能性もある。日経平均の上げ幅ほど市場のムードは良好とは言えない。


■ドル・円はじり安、米長期金利の低下が売り誘発

27日午前の東京市場でドル・円はじり安。ドルは106円で寄り付いた後、米長期金利の低下による売りで105円台後半に弱含んだ。

ドル・円は106円台で寄り付いた後、米株式先物の下落で105円台に値を下げた。日経平均株価は前日比200円超の堅調地合いとなり円売りが見込まれたが、米10年債利回りの低下を手がかりにドルは105円60銭台まで下落。

ランチタイムの日経平均先物は堅調地合いが続き、目先の日本株高持続を期待した円売りは続く見通し。また、米株式先物は反転し、ドル買いも入りやすい。ただ、目先も米長期金利が低下した場合にはドル売りが想定される。

ここまでの取引レンジは、ドル・円は105円68銭から106円16銭、ユーロ・円は117円37銭から117円83銭、ユーロ・ドルは1.1098ドルから1.1107ドルで推移した。


■後場のチェック銘柄

・イメージ情報開発<3803>、太洋物産<9941>がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はソフトバンクG<9984>


■経済指標・要人発言

【要人発言】

・香港特別行政区行政長官
「警察は最低限の武器しか使用せず、政府は話し合いの場を設ける方針」

・茂木経済財政相
「対米交渉は自動車業界にとって懸念となる形での決着にはならない」


<国内>
・特になし

<海外>
・15:00 独・4-6月期GDP改定値(前年比予想:0.0%、速報値:0.0%)



<HH>

情報提供元: FISCO
記事名:「 後場に注目すべき3つのポイント~上げ幅ほど良好なムードではないか