前日の外為市場は、当初はドル売り主導でスタートしたが、ドル・円は112円20銭付近の下値の堅さが確認されるとドルのショートカバーで持ち直した。その後、ブレグジットに関する英議会での採決延期を受けたポンド売りやフランスの政治不安を嫌気したユーロ売りが強まり、ドル・円は113円30銭台まで1円超も値を切り上げた。本日のアジア市場では、そうした想定を上回る前日の値動きの調整で、ドル売りに振れている。米国のムニューシン財務長官と中国の劉鶴副首相が貿易問題に関し協議したもようだが、ドル・円は戻りが鈍く、日本株安の後も欧米で株安が続けば112円台に軟化する可能性があろう。

今晩も引き続きブレグジットの行方が注目される。メイ首相は11日の議会採決決行の姿勢を崩していなかったが、野党だけでなく与党内の強硬派からも支持を得られない状況下で採決に臨めば、対抗勢力から内閣不信任案などで追いつめられる懸念も浮上したため、前日になって再考を余儀なくされたようだ。メイ首相は今後再びEUとの協議を重ねる意向だが、採決を延期しても事態打開は期待できず、ポンドやユーロなど欧州通貨売りの流れは続きそうだ。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)による来年以降の引き締めペースの鈍化は避けられないとみられ、前日のようなドル買いは見込みにくい。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・8-10月ILO失業率(予想:4.1%、7-9月:4.1%)
・19:00 独・12月ZEW景気期待指数(予想:-25.0、11月:-24.1)
・22:30 米・11月生産者物価指数(前月比予想:0.0%、10月:+0.6%)
・03:00 米財務省3年債入札(380億ドル)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、調整売り先行も欧州通貨の下落基調が下支え