10日の日経平均は大幅に下落。459.18円安の21219.50円(出来高概算13億8000万株)で取引を終えた。前場には一時21169.96円まで下げ幅を広げる局面もみられ、下落幅は一時500円を超えていた。米中貿易摩擦に加えて米景気の鈍化が懸念されてきていること、英国のEU離脱案の下院採決を11日に控え、売り優勢の相場展開となった。今月は連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を引き上げる可能性があるが、19年の利上げ見通しは下方修正されるとの見方が高まり、円相場が1ドル112円40銭台と円高に振れて推移していることも重石となった。その後は21200円を挟んで下げ渋るものの、アジア市場が揃って弱い値動きをみせているほか、グローべックスのNYダウ先物は200ドル近い下げで推移していたこともあり、買い方不在の中で安値圏でのこう着が続いた。

東証1部の騰落銘柄は値下がり数が1900を超えており、全体の9割を占める全面安商状となった。セクターでは石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非OPEC加盟国が減産で合意したことを背景に石油石炭、鉱業の2セクターのみが上昇だった。下げのきつかったところでは、空運、サービス、食料品、電気機器、証券、ガラス土石、機械、化学、水産農林の弱さが目立つ。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>の3銘柄で日経平均を100円超下押している。

米中貿易摩擦に加えて米景気の鈍化が懸念されてきていることを背景に、リスクオンには向かいづらい状況が続きそうである。また、明日は英国では議会下院が、ブレグジット合意について議決する。下院が承認しなければ、合意は実施されないため、「合意なき離脱」による市場の混乱が警戒されやすい。ただし、欧州連合(EU)は13、14日に開く首脳会議を「英国危機」への対応を協議する場に変える構えであり、離脱延期の提案等の動きが出てくるかが注目される。

また、センチメントの悪化により、外部環境の影響が限られている中小型株へも個人主体の換金売りが強まっている。マザーズ指数は一時3.5%超の下げとなり、テクニカル面では支持線として意識されていた一目均衡表の雲上限を割り込んできている。一方で、外部環境の不透明感が強いが、需給面ではヘッジファンドは米感謝祭後のクリスマス休暇入りによって、売りは一巡してくるところである。薄商いの中でイレギュラー的な価格形成になりやすいところではあるが、キャッシュポジションを高めつつも、成長銘柄などを冷静に拾うところでもあろう。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 キャッシュポジションを高めつつも、成長銘柄などを冷静に拾う【クロージング】