23日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想する。イタリア財政問題を背景に、欧州中央銀行(ECB)の利上げ時期後退の思惑でユーロが売られやすく、ドルが選好される見通し。ただ、米地区連銀総裁の慎重発言や米ロ関係の悪化で長期金利や株価が不安定となればドルは買いづらい。

イタリアのコンテ政権は2020年の予算について縮小する方針と伝えられるものの、同国の予算についてはなお拡大の懸念が残る。それを受け、25日のECB理事会では来年夏以降としている利上げ時期を後退させるとの憶測が広がり始めた。また、ブレグジットに関しても、メイ英政権の求心力低下で政局リスクが警戒される。本日のアジア市場のドル・円は、日経平均株価の大幅安と上海総合指数の反落で円買いが先行し、112円80銭台から112円40銭台まで弱含んだ。ただ、欧州発のリスク要因でユーロやポンドが押し下げられれば、ドル選好地合いが高まる可能性があろう。

とはいえ、ドル買いに振れても上昇は限定的となりそうだ。海外市場でも材料は乏しく、当局者発言を受けた株価や長期金利の動向に振らされる展開が見込まれる。今晩は米国のミネアポリス、アトランタ、ダラスの各地区連銀総裁の講演が手がかりとなろう。連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは当面の利上げ継続方針で一致しているが、今年投票権のあるアトランタ連銀のボスティック総裁から慎重な姿勢が示されればドルは買いづらい。一方、中距離核戦力(INF)全廃条約の順守をめぐる米ロ対立の行方を引き続き注視する展開で、積極的なドル買いは手控えられるだろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・22:30 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演(児童教育関連会合)
・23:00 米・10月リッチモンド連銀製造業指数(予想:24、9月:29)
・23:00 ユーロ圏・10月消費者信頼感指数速報値(予想:-3.2、9月:-2.9)
・24:20 カーニー英中銀総裁講演(トロント大学)
・02:00 米財務省2年債入札(380億ドル)
・02:30 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(米国経済と金融政策)
・03:15 カプラン米ダラス連銀総裁講演(経済発展関連会合)




<FA>

情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、米地区連銀総裁発言や米ロ関係を注視