6日の欧米外為市場では、ドル・円は上値の重い展開を予想する。前週末の米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントが波乱なく通過し、警戒の円買いは後退する見通し。ただ、今週予定される日米貿易協議(FFR)への警戒がドル買い(円売り)を抑制しそうだ。

前週末に発表された米国の経済指標で、7月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を下回ったほか、7月ISM非製造業総合景況指数が低調な内容となり、ドル・円は下落基調となった。また、カーニー英中銀総裁が英国の合意なき欧州連合(EU)離脱への懸念に言及したことでポンド・円が急落し、ドル・円を押し下げた。一方、イタリアの予算編成で歳出拡大への警戒から同国の国債利回りが急上昇し、ユーロ・ドルの下げがドルを下支えした。

ドル・円はアジア市場で重要イベントの一巡により円買いは後退し、今晩の欧米市場では底堅い値動きとなる見通し。米雇用統計は利益確定売りの口実にされたが、平均時給は前回並み、失業率は改善予想と一致し、むしろ底堅い内容といえる。特に、広義の失業を意味するU6失業率は17年超ぶりの水準に低下し、すそ野の広い消費が景気をさらに押し上げるとみられ、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続方針を後押ししよう。

ただ、ドル・円の上値が重いのは、「FFRに対する期待が薄いため」とある市場筋は指摘。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は日本に対し2国間協議で貿易黒字の是正を求める構えで、日米の政治力学からいって制裁関税を受け入れざるを得ない状況が想定される。ドル・円は7月31日につけた110円75銭を支持線に下値の堅い値動きが見込まれるものの、112円を回復目指す展開にはなりにくいだろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・特になし
・カナダ休場(市民の日)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上値の重い展開か、FFRへの警戒が重石に