■アベノミクス継続期待で株高・円安の相場展開

先週のドル・円は強含み。22日に行われた日本の総選挙で自民・公明の与党が大勝したことを受けて、アベノミクス継続への期待が広がった。日経平均株価は過去最長となる16連騰を記録。株高を意識した円売りが活発となった。米国の税制改革実現への期待が高まったことや米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に関して、タカ派寄りと見做されているスタンフォード大学のテイラー教授が有力候補に挙げられたこともドル買い材料となった。27日に発表された7-9月期の米国内総生産は、前期比年率+3.0%と市場予想を上回る伸びを記録したことから、ドル・円は7月中旬以来となる114円45銭まで上昇した。

しかしながら、スペイン・カタルーニャ自治州議会は27日、独立に関する動議を賛成多数で可決し、スペインからの独立を宣言したことや、トランプ米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にパウエルFRB理事を指名する方向に傾いていると報じられたことからリスク選好的なドル買いは一服。北朝鮮による水爆実験に対する警戒感は消えていないこともドルの上昇を抑える要因となり、ドル・円は113円69銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:113円25銭-114円45銭。

■ドル・円はやや強含みか、米FOMCで12月追加利上げを見極めへ

今週のドル・円はやや強含みとなりそうだ。欧州中銀(ECB)は金融正常化を慎重に進める姿勢を示したことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融正常化の推進を想定した値動きが見込まれる。

10月31日-11月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合は12月追加利上げの有無を判断する材料になりそうだ。足元の経済指標は堅調な内容のものが多い。一部の金融当局者は早期の追加利上げに慎重だが、FOMC声明で年3回の利上げスタンスが堅持される可能性は高い。市場は12月の追加利上げを想定しており、ドル買いは継続するとみられる。

ただ、近く決定する次期FRB議長人事について共和党有力議員はスタンフォード大学のテイラー教授を推しているものの、トランプ大統領はパウエルFRB理事の指名に傾いていると報じられた。タカ派寄りとされるテイラー氏がFRB議長に指名されなかった場合、米長期金利は伸び悩み、ドル買いは後退する可能性がある。

一方、10月22日の衆院選で自民・公明の与党は大勝し、安倍政権が再始動する。日本銀行による金融緩和政策の継続が見込まれるなか、10月30-31日の金融政策決定会合で日銀は現行の金融政策を維持する見通し。金融緩和策の継続が決定された場合、ドル高・円安の基調は変わらないと予想される。

ただ、トランプ政策の柱である税制改革について、なお党内調整が必要と指摘されており、調整の遅れはドル買いを弱める要因となりそうだ。また、北朝鮮は太平洋上で水爆実験を実施する姿勢をみせており、地政学リスク増大の懸念は消えていないことから、12月追加利上げが想定される状況でもリスク選好的なドル買い・円売りがさらに拡大するとは言い切れないとの声も聞かれている。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(10月31日-11月1日開催予定)
FRBは日本時間11月2日午前3時に声明を発表し、その後イエレンFRB議長が記者会見を行なう。政策金利は1.00-1.25%に据え置きの公算。FOMCメンバーの間では慎重論もあるが、イエレンFRB議長が強気なスタンスを堅持すれば、年内追加利上げへの期待からドル買いが強まる可能性がある。

【米・10月雇用統計】(11月3日発表予定)
11月3日発表の米10月雇用統計では、失業率は4.2%(前回4.2%)、非農業部門雇用者数は前月比+31万人(-3.3万人)、平均時給は前年比+2.7%(同+2.9%)と予想されている。非農業部門雇用者数はハリケーンの影響がなくなることから大幅な増加が予想されるが、平均時給が伸び悩んだ場合、リスク選好的なドル買いはやや抑制される可能性がある。

予想レンジ:112円50銭−115円50銭




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情報提供元: FISCO
記事名:「 為替週間見通し:ドル・円はやや強含みか、米FOMCで12月追加利上げを見極めへ