今日の欧米外為市場では、米ジャクソンホールで行われるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長とドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の講演が注目される。ともに中立的な見解が想定され、ドル・円についてはポジションの傾きがあまりみられないことから、動きは限定的になる可能性がある。ただ、ユーロは買いが目立っていたことで、ポジション解
消のきっかけになる可能性から、ややドル買いに振れやすくなりそうだ。

今晩、イエレンFRB議長は「金融の安定性」(23時)、ドラギECB総裁は「ダイナミックな世界経済の発展」(26日4時)というテーマでそれぞれ講演を行う。イエレン議長は昨年同様、金融正常化に関する基本方針を堅持しつつも、詳細には踏み込まない見通し。ただ、足元の経済指標が強弱まちまちのタイミングでは、正常化方針の強調は年内追加利上げ観測につながる可能性があろう。

また、3年ぶりの出席となるドラギ総裁も、従来の金融緩和政策を転換する方針を打ち出すとの観測が高まっているが、イエレン議長同様に中立的な見解が見込まれる。足元では
ユーロ買いポジションが積み上がっているとの見方から、ドラギ総裁の発言はユーロ売り・ドル買いのきっかけとなり、その影響でドル・円はある程度押し上げられる可能性もあろう。ドル・円は、イエレン氏の講演で底堅く推移し、ドラギ氏の講演後に110円を回復する値動きを予想したい。ただ、110円台はオプション絡みの売りが観測されており、上値は重い見通し。

一方、トランプ米大統領のメキシコ国境付近の「壁」建設をめぐる発言を受けて、政府予算への費用計上で債務上限問題への懸念が強まっている。10月の新年度入りに向け議会審議の行方に懸念が広がるなか、米国経済の腰折れへの思惑から株売り・ドル売りに振れる展開も見込まれる。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 独・8月IFO企業景況感指数(予想:115.5、7月:116.0)
・21:30 米・7月耐久財受注(前月比予想:-6.0%、6月:+6.4%)
・23:00 イエレン米FRB議長講演(ジャクソンホール会議)
・04:00 ドラギECB総裁講演(ジャクソンホール会議)




<CS>

情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は底堅い展開か、ECB総裁の発言後のユーロ売りに警戒