今日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を想定したい。米連邦準備理事会(FRB)の3月利上げ観測が後退するなか、FRB当局者による発言が注目される。今年3回の利上げ方針が改めて示唆されればドル買いになる。しかし、日米首脳会談を控え、貿易不均衡是正の協議に絡む警戒も強く、ドル買いは限定的になる可能性がある。

足元のドル・円の値動きを振り返ってみると、1月31日-2月1日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げに消極的と受け止められ、ドル売りが強まった。また、3日に発表された米国の1月雇用統計では、平均時給の伸びが鈍化したことなどが材料視され、3月利上げ観測は急速に後退し、このところのドル安基調につながっている。

1月20日のトランプ政権発足後、FOMC前のブラックアウト期間と重なったこともあるが、FRB当局者からタカ派的な発言が聞かれないことも、ドル安基調に振れている要因とみられる。これまでの発言機会は、シカゴ連銀のエバンス総裁(3日)、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁(6日)、それにミネアポリス連銀のカシュカリ総裁(7日)ぐらいだ。このうち2017年に投票権を持つFOMCメンバーでは、タカ派に位置づけられるハーカー氏は金融政策等に言及なし。カシュカリ氏は「FRBの政策で引き締め過ぎよりも緩和過ぎる金融政策が好ましい」など、ハト派的な発言をしている。

こうしたなか、今晩はブラード米セントルイス連銀総裁とエバンス総裁の講演が注目される。いずれもハト派寄りながら、ほとんどの当局者は年3回の利上げ方針とみられ、市場コンセンサスと一致する。ドル・円は昨年11月以来の安値圏まで水準を下げているため、利上げ方針が改めて示されれば、ドルの買い戻し余地は十分にあろう。ただ、トランプ大統領が、中国、日本、ドイツなど上位の対米貿易黒字国の通貨安政策を非難していることで、ドル買いに慎重になるムードも強い。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:00 ロウ豪準備銀行総裁講演
・22:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:24.9万件、前回:24.6万件)
・23:05 ブラード米セントルイス連銀総裁講演(米国経済と金融政策)
・24:00 米・12月卸売在庫改定値(前月比予想:+1.0%、速報値:+1.0%)
・03:00 米財務省30年債入札(150億ドル)
・03:10 エバンス米シカゴ連銀総裁講演(米国経済の現状と金融政策)
・03:30 カーニー英中銀総裁講演
・メルケル独首相とドラギECB総裁が会談





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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、米連銀総裁らの講演に注目