米供給管理協会(ISM)が発表した5月ISM製造業景況指数は61.2と、4月60.7から予想以上に上昇した。重要な項目である新規受注は67と、4月64.3から予想以上に上昇。一方、インフレ上昇が警戒される中、注目の支払い価格は88と、4月の89.6から予想以上に低下し、インフレ懸念が和らいだ。入荷遅延は78.8と1974年4月来の高水準。平均的な材料の出荷日数は85日に一段を拡大した。製造業の原材料不足が依然目立つ。雇用も50.9と、4月の55.1から大きく低下し、拡大と縮小の境目となる50割れ寸前まで再び悪化した。熟練労働者の確保が依然困難となつている。

◆5月ISM製造業
景気指数:61.2(60.7)
仕入れ価格:88.0(89.6)
生産:58.5(62.5)
新規受注:67.0(64.3)
受注残:70.6(68.2)
入荷遅延:78.8(75.0)
在庫50.8(46.5)
顧客在庫:28.0(28.4)
雇用:50.9(55.1)
輸出:55.4(54.9)

米5月ダラス連銀製造業活動指数も34.9と、4月から予想以上に減少。生産は15.7と、1月来の低水準。受注の伸びのペースも19.5と1月来の低水準に再び落ち込んだ。

サプライチェーンの混乱はいまだに収まる兆候はなく、当分製造業の生産を圧迫する可能性が懸念される。米連邦準備理事会(FRB)のクオールズ副議長は、「インフレを巡る考えに数カ月前から変わりはない」とし、「依然一時的」との考えを繰り返した。また、最大雇用達成にも「かなりの道のり」と依然慎重な見解を示した。また、「もし、インフレ期待が変化し始めれば、FRBの行動が期待抑制を支援するとし、FRBには持続する高インフレに対処する手段がある」と断固とした姿勢を繰り返した。製造業指数の結果はまちまちでサプライチェーンの混乱の影響がいまだに観測される。FRBも当面、緩和姿勢を崩しそうもない。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米経済には過熱感なく金利安定