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経常収支黒字の主役は第一次所得収支である。その第一次所得収支は20兆7,175億円の黒字と、黒字幅は前年比3.2%縮小した。証券投資収益の黒字幅が若干縮小したが、直接投資収益は約11兆円とほぼ横ばいであったことから、第一次所得収支の水準は大きく変わらなかった。2011年以降は基本的に、第一次所得収支の黒字幅が経常収支黒字を上回る状況が続いており、「投資立国」という姿が見て取れる。
その第一次投資収支であるが、以前は証券投資収益が直接投資収益を大幅に上回っていた。しかし、海外子会社等からの配当金の受取額が増加したことなどから、2013年頃から直接投資収益の黒字幅が拡大してきており、このところ両者はほぼ同規模となっている。直接投資収益を地域別に見ると圧倒的にアジアが大きく、業種別には卸売・小売、輸送機械器具などの構成比が大きい。「投資立国」の半分は直接投資収益であり、その直接投資収益は「自動車で稼ぐ日本」といった日本企業のビジネスモデルの反映でもある。日本企業が稼げなくなっていくのであれば、直接投資収益にも影響が及び、それは「投資立国」という姿にも影響を与えてしまう可能性も考えられる。
(株式会社フィスコ 中村孝也)
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