金価格が高値圏での推移を続けているが、それは金ETFへの資金流入によって支えられている面が大きい。2020年第2四半期の金需要は前年比11%減の1,015.7t。そのうち投資需要は582.9tで、中でも金のETFおよび類似商品が434.1tと全体の需要の約4割を占めた。前年同期と比較して6倍近くの資金流入である。超長期で見ると、金価格は(GDP比で見た)米国のマネタリーベースと連動しているように見えることから、更なる金価格の上昇を期待する向きも少なくない。地域別に見ると、金ETFへの資金流入は北米が中心である。一方、宝飾品などの消費需要が低迷したことに加えて、中央銀行による買い需要も減少した。

中央銀行による買い需要は減少したものの、それでもこの10年で国の準備金は米国債から金にシフトしてきている。重量ベースで見た世界の中央銀行の金準備高は増加基調にある。2018年以降で見ると、トルコ、ロシア、ポーランド、中国、インドなどが金準備高を増加させた。2010年以降で見ても、金準備高を増やした国はロシア、中国、トルコなどであり、2018年以降で見た時とあまり差はないようだ。

外貨準備高に占める金の割合が高い国は、ベネズエラがトップで82.6%、米国、ドイツ、イタリアなどが70%を超えている。一方、金の割合が低いのは、香港、チェコ、コロンビアなどであり、韓国、日本、中国なども低い部類に属する。アジアの国々は総じて外貨準備に占める金の割合が低く、最近の金価格の上昇を国力の増加につなげきれていない面もある。

(株式会社フィスコ 中村孝也)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 外貨準備高の中で輝く金【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】