4月30日付日本経済新聞は「緊急事態宣言延長へ」と、全国を対象として1ヵ月程度伸ばす案を軸に調整中であることを報じた。一方、4月中旬から、オーストリア、チェコ、デンマークなどではロックダウンを緩和させる動きも出始めている。ここでは各国による新型コロナウイルス対策を国際比較してみよう。

オックスフォード大学はOxford Stringency Indexを公表している。これは、151ヵ国を対象として、政府が取った政策措置の厳格さを17項目についてスコア化したものである。8つの指標は学校閉鎖や移動制限などの封じ込めおよび閉鎖の政策に関する情報、4つの指標は市民への所得支援や対外援助の提供などの経済政策に関する情報、5つの指標はCOVID-19の検査体制や医療への緊急投資などの保健システム政策に関する情報で構成されている。

4月28日時点でのスコアの平均値は82.1であった。2月21日に10台に初めて乗せた後、3月17日には50、4月4日には80を突破するなど急上昇したが、その後は高止まりが続いており、更なる政策強化余地は乏しい様にも感じられる。
スコアが高い国は、インド、サウジアラビア、南アフリカなど19ヵ国である(97.1)。逆にスコアが低い国は、ニカラグア(20)、ブルンジ(22.9)、台湾(35.2)、中国(40.2)、ブルガリア(42.9)であり、いずれの国のスコアも50を下回る。日本の直近値は56.2と、下から数えて9番目と、政策自体は決して強いものではなく、あくまでも国民の自主性に委ねられている様が表れている。

(株式会社フィスコ 中村孝也)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 新型コロナウイルス対策の国際比較【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】