2020年1月末以降、日本はもちろんのこと、新型肺炎を巡る経済減速懸念から世界的な株安局面となっております。金融市場がこれだけ不安定ななか、今回は年初から下落基調となっている原油相場について触れたいと思います。

まず、足元の原油相場の値動きについてですが、米WTI原油先物価格のチャートをみると、19年末に1バレル=60ドル台で推移しておりました。一方で、年初からは下落基調となっており、2月末には1バレル=40ドル台までの調整と、実に30%超もの下落をみせています。

ちなみに、よくメディアなどで原油相場に触れるときによく見るこのWTIという指標は、ウエスト・テキサス・インターミディエートの略称であり、ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)にて取引されている原油先物のことを指しております。これは、「西テキサス地方の中質原油」という意味であり、取引量と市場参加者も非常に多く、市場取引における流動性や透明性の観点から世界の原油相場の代表的な指標価格となっています。
その米WTI原油先物相場ですが、2020年初こそ米国とイラン間の緊張の高まりで原油相場が一時急騰する場面があったものの、両国が戦争回避姿勢だったためにすぐに下落基調入りとなりました。

1月末以降は、中国発の新型肺炎の感染拡大によって中国経済の減速や原油需給悪化への警戒感が強まっています。3月に入ってからも新型肺炎の感染が本格的に拡大するなか、ヒトとモノの移動制限も世界的に強まっており、世界の原油需要が減少するのではという不安が極端に強まっています。これに伴って、原油相場の需要減退を意識した売りが優勢になりました。また、国際エネルギー機関(IEA)の事務局長が2020年前半の原油供給の余剰リスクを指摘したことも需給悪化不安を煽る一因となりました。

このような状況下、3月3日には、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の合同専門委員会(JTC)が、世界の原油生産について、日量100万バレルの追加減産を勧告したことが伝わっています。世界的に原油の需要増が期待しにくい地合いのなか、サウジアラビアなど主要産油国の一部が協調減産への姿勢をみせておりますが、産油国の間でこれに追随する動きが出るかどうかには、原油相場の需給の先行きを占う上でも非常に気がかりです。

夏場には、日本では東京五輪が控えるほか、毎年ピークを迎えるとされる米国のガソリン需要期でもあります。これらの経済や原油需要を大きく左右するとされるイベントを前に、新型肺炎による経済減速・原油需要減を意識した原油相場の値下がりに歯止めがかかるかどうか、注視しておきたいところですね。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 今からでも間に合う!将来に向けた資産運用入門~年初から原油が下落したワケ~