2019年11月時点で金準備高が突出しているのは米国、ドイツ、イタリア、フランス、ロシア、中国の6ヵ国であり、その中にはユーロ圏のうち多くの国が含まれる。ドイツ、イタリア、フランスなどのユーロ圏各国は、第二次世界大戦後からニクソンショックまでの期間を中心に、金準備高を積み上げた。海外に保管されていた金準備高も多かったが、ドイツは、2017年までの4年間で、海外に保管されていた金準備の多くを取り戻すなど、金準備高を重視している姿勢が特徴的である。

小さいながら「ユーロのループ」の構築を目指すユーロ圏は、ドルストックが限られる一方、外貨準備高に占める金の構成比は52%と高い。ドル価値が低下した場合でも、国力に影響が生じないように備えてきた面があるのだろう。そのように考えると、世界の主要地域の中でデジタル通貨に対して積極姿勢を示していることも頷ける。

世界第5位の金準備高を誇る中国は、3.2兆ドルという外貨準備高のうち外貨が3.1兆ドルと大半であり、金は915億ドル(3%)にとどまる。それでも2001年以降、中国の金準備高が4.7倍に増加した。日本の金準備高は中国を大きく下回ることに加え、2001年以降では完全な「横ばい」である。



<SI>

情報提供元: FISCO
記事名:「 金準備高を重視するユーロ圏各国【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】