米連邦準備制度理事会(FRB)は10−11日の2日間にわたり開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利据え置きを全会一致で決定した。世界の展開や抑制されているインフレを監視していくと加えた。

FRBのインフレ判断は「依然2%を割り込んでいる」が、いずれ上昇すると見ていると繰り返した。今後は2019年に保険的な3回の利下げが経済やインフレに与える影響を見ていく。

米国の最新11月の消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.3%と10月の+0.4%から低下。前年比では+2.1%と1年ぶり高水準に達した。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)がより注視している変動の激しい燃料や食品を除いたコアCPIは前月比+0.2%、前年比+2.3%で10月と同水準を維持。

11月生産者物価指数(PPI)は前月比横ばいと、10月+0.4%から低下。前年比では+1.1%と、上昇予想に反して10月と同水準にとどまった。コアPPIは前月比−0.2%と、予想外に9月来のマイナスに再び落ち込んだ。また、前年比では前年比+1.3%と、上昇予想に反して10月+1.6%から低下し、2017年2月以降ほぼ3年近くぶりの低水準を記録するなど冴えない。食料品やガソリン価格の上昇も、サービスコストの低下と相殺された形。関税による物価への影響も見られない。

パウエル議長は物価圧力が高まらずに成長が維持されることは「良いことだ」とする一方で、2%以下にとどまるインフレが「不健全になる可能性もある」と懸念も表明している。

米中はようやく、第1段階の貿易協定で原則合意。トランプ大統領が承認し、15日の対中追加関税の発動も見送られた。今後、報道通り、現行の一部対中関税率が引き下げられ、貿易が回復した場合、景気の見通しも改善が見込まれる。英国の総選挙でも出口調査で、与党の歴史的な勝利が示唆されておりハードブレグジットのリスクが低下。リスク要因が少しづつ改善していることは世界経済にとっても良いこととなる。今後は、インフレの上昇につながっていくかにも注目したい。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米インフレは抑制、経済へのリスクの低下で持ち直すかが焦点