米供給管理協会(ISM)が発表した9月ISM製造業景況指数は47.8と、改善予想に反して8月49.1に続いて50を割り込み活動の縮小を示した。50は活動の拡大と縮小の境目となる。景気後退から脱出した2009年6月来で最低を記録。7−9月期の平均は49.4と、50割れとなった。2012年10−12月期以降で初めての50割れとなる。製造業が7−9月期国内総生産(GDP)の成長を抑制する可能性が示唆された。ISMのFiore氏は世界の貿易が依然最大の課題になっており、2019年7月から輸出受注の減少に繋がっていると指摘。り、全般的なセンチメントが短期の成長に警鐘をならしているとの見解を示している。

特に、関税の影響で輸出は41と、景気後退時の2009年3月来で最低を記録。関税が世界経済のみならず米国経済の製造業をもリセッション水準に陥れている兆候が出始めた。雇用は2016年1月来で最低。入荷遅延を除いて、重要な項目となる新規受注を含めて全項目が50を割り込んだ。

9月の製造業PMIはユーロ圏や中国だけでなく、韓国、インドネシア、南アフリカ、イタリア、英国で軒並み50を割り込んでいる。WTO(世界貿易機構)は1日、2019年の世界貿易見通しを+1.2%と、4月の見通し+2.6%から10年ぶり低い伸びに引き下げた。

ISM結果を受けてアトランタ連銀は7−9月期のGDP成長見通しを従来の2.11%から1.78%へ引き下げた。9月のFOMCで公表されたスタッフ予測によると、FOMCメンバーの過半数は年内金融政策の据え置きを予想していた。一方、市場は、年内少なくともあと1回の利下げを織り込み始めた。金利先物市場では10月の追加利下げ確率が40%前後から63%まで上昇。ただ、製造業の悪化、中央銀行による金融緩和は世界的に連動しているため、ドル高傾向が大幅に転換するとは考えにくい。

■米9月ISM製造業景況指数
景気指数:47.8(8月49.1)
仕入れ価格:49.7(46.0)
生産:47.3(49.5)
新規受注:47.3(47.2)
受注残:45.1(46.3)
入荷遅延:51.1(51.4)
在庫:46.9(49.9)
顧客在庫:45.5(44.9)
雇用:46.3(47.4)
輸出:41(43.3)
輸入:48.1(46.0)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米9月ISM製造業景況指数はリセッション水準に