◆初めは、どうして4月からにしなかったのか、と思った。令和への改元時期である。言うまでもなく、我が国の年度は4月始まり。そこに改元を合わせれば、「令和元年」入学の新入生や「令和元年」入社の新入社員などが誕生していたはずである。今年の4月に入学・入社したひとたちは、たった1カ月の差で「平成最後の世代」との括られ方がずっとついてまわる。事実上は「令和元年」入学・入社なのに、である。

◆しかし今は、やっぱり5月1日からで良かったと思う。GW(ゴールデンウィーク)の10連休のせいである。平成の大晦日となる4月末にはテレビ各局が特別番組を組んだ。NHKの「ゆく時代くる時代」だけではなく、大勢が平成を振り返り、来る令和の時代に想いを馳せたことだろう。4日に行われた令和最初の一般参賀は14万人以上もの人出を集めた。まさに歴史的な一大イベントを国民総出で祝った。これが繁忙期に当たる年度末から新年度初めであったら、こうはいかなかったであろう。

◆もちろんGW中の改元は、システム変更の作業やリスクを考えてのことだった面もあるだろう。事前には、海外市場が開いている中で、国内の株式市場をはじめ金融取引をこれほど長期にストップさせていいのかという意見もあった。ただ、結果的にGWの10連休が必要だったと思えてくる。 憲政史上初となる天皇陛下の退位と即位、それに伴う改元という歴史的イベントは、日本全国が長期の休暇に入り、普段の仕事を離れる「非日常」の中で迎える必要も価値もあった。それくらいの「構え」で臨んでちょうどよい体験ではなかったか。

◆「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった」ではないけれど、GWの長い休みを終えると令和であった、という感じである。今日、職場で顔を合わせる同僚、上司、部下たちとどのような挨拶が交わされるだろう。「令和、おめでとう」「令和でもよろしくお願いします」 − 暦年、年度、改元と1年のうちに3回も新年を祝うことができるのはそうざらにあることではない。

◆令和に改まって今日で1週間。読者諸氏はとっくに「令和初の○○」を体験済みだろう。しかし、多くのひとにとって令和の仕事始めは今日からだ。そして小欄も今日が令和初の【新潮流】である。文字通り、新たな気分で令和時代の潮流を綴っていきたい。令和でもよろしくお願いします!

※5月7日配信の記事であるため、本文中の「今日」は5月7日を指します。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆
(出所:5/7配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 コラム【新潮流2.0】:令和でもよろしく(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)