米国商務省が発表した10月コアPCE価格指数は前年比+1.8%と、予想+1.9%を下回り、2月来の低水準となった。9月分は+2.0%から+1.9%へ下方修正された。同指数は、米連邦公開市場委員会(FOMC)がインフレ指標として最も注視しており、2%達成を目標としてきた。7月にいったん達成後、再び低下基調にある。インフレが2%以下で安定した場合、利上げをいったん休止できるとの見方も強まりつつある。

さらに、米労働省が発表した最新の週次新規失業保険申請件数は前週比+1万件の+23.4万件と、減少予想に反して、前回22.4万件から増加、5月来で最高となった。失業保険継続受給者数も171万人と、やはり減少予想に反して、前回166万人から増加した。労働市場もピークをつけた可能性もある。加えて、住宅ローン金利の上昇が影響し、本年を通じて米国住宅市場は相変わらず冴えない。全米不動産業者協会(NAR)が発表した10月中古住宅販売成約指数は前月比-2.6%で2014年半ば以来の低水準に落ち込んだ。伸びは予想外に、8月来のマイナスで、下落率は1月来で最大となった。

消費は相変わらず強いが、インフレや労働市場の拡大ペースがいったん失速した可能性もあり、現状で、FOMCの利上げ休止も正当化される。米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した前回11月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の中でも、米国経済は依然強く、財政刺激策や強い消費が上方リスクになり得るとしながらも、同時に、貿易、企業債務、低いインフレ期待をリスクとして認識していると指摘。また、一部のメンバーは政策金利であるFF金利誘導目標がすでに中立に近いと指摘hしたことも明らかになった。パウエルFRB議長やクラリダ副議長の講演での発言に一致する。フォワードガイダンスでも、「一段の緩やかな利上げ」との文言を削除する可能性にも振れ、声明で政策が一段と指標に焦点をあてることを強調していく可能性がある。

一方で、クラリダ副議長も指摘したように、万が一、インフレが2%目標を突破した場合には、政策を修正していくことになりそうだ。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米国雇用、インフレ指標も現状でFOMCの利上げペース鈍化を正当化