今週は引き続き貿易摩擦問題の行方に注目が集まる。また、今週発表予定のインフレ指標で、さらに利上げ軌道を探る。米6月雇用統計で、労働市場の過熱感は見られなかった。強い雇用にもかかわらず賃金の伸びに依然つながっておらず、FOMCの利上げペースが警戒されていたほど早まらない可能性も出てきた。金利先物市場は6日時点、9月の利上げを81%、12月の利上げを 48%織り込んだ。

また、米国債の利回り曲線の平坦化が続いており、動向に注目。2年債と10年債の利回り格差は11年ぶりで最小となった。万が一、長短金利の利回りが逆転した場合、景気後退の前兆となると、FOMC高官やエコノミストが警戒しており、ドルの上値を抑制する要因にもなる。

米国は6日、計画通り340億ドル規模の中国製品に対する関税を発動。これに対し、中国も早速、同規模の米国製品に報復関税を発動した。米国は、今夏末にはさらに160億ドル規模の中国製品に対する関税を発動する計画。米国の措置に対して、中国が同規模の報復措置を続けると仮定した場合、中国のレバレッジは少ない。米国による中国製品の総輸入額が、中国による米国製品の輸入額を大きく上回るためだ。

追加関税が発動されるまでに、米中貿易協議が再開されるかどうか、行方に注目が集まる。欧米間の自動車関税問題に関しては解決に向けて進展が見られることは好感材料となる。

英国では内閣が離脱交渉で、メイ首相のビジネスをサポートする方針を支持。ソフトブレグジットの可能性がとりあえず安心感につながった。ただ、道のりは長く、不透明感も当面くすぶりそうだ。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:今週の注目:貿易摩擦問題の行方、米PPI、米CPIなど