米労働省が発表した4月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%と、3月-0.1%からプラスに改善したものの予想+0.3%を下回った。前年比では+2.5%と、予想通り3月+2.4%から上昇。昨年2月以降ほぼ1年ぶり高水準となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)が注視している食品やエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.1%と、予想外に3月+0.2%から低下。前年比では+2.1%と、上昇予想に反して3月の水準を維持し落ち着いた動きとなっている。

4月生産者物価指数(PPI)も3月から予想以上に低下。現在のところ、恐れられていたようなインフレの高騰は見られない。ただ、トランプ大統領がイラン核合意を離脱。対イラン制裁強化を公約し、イランと取引をする諸国、企業、銀行などにも制裁を科す方針を表明したため、今後の原油価格が供給ひっ迫により100ドル近くまで上昇するとの予想もある。さらに、原油高がインフレ高騰につながる可能性は残る。ただ、今のところ、年初からのインフレ高騰への警戒感が行き過ぎであった兆候が見られる。インフレ急騰のリスク後退は経済にとってもプラスに働く。株式相場も支援する。

ただ、「新債券王」の異名を持つ米ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)はウエブキャストで、コアCPIが明白に2.25%を上回った場合、インフレやFRBの金融政策、市場のシナリオが変わる可能性を警告していたため、この水準には注視が必要か。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:年初からのインフレ高騰への脅威は行き過ぎ