短期投機家・投資家の円のポジションは買い持ちを維持した。市場の円の売り持ちが払しょくしたため、円がどちらかというと下落しやすい環境を保つ。一方、ユーロの買い持ち高は前々週からさらに増加。過去最高水準で、ユーロの上昇は引き続き限定的と見る。

今週は、国際的イベントとして南北首脳会談に注目が集まる。IMF・世銀春季総会は22日まで続く。また、欧州中央銀行(ECB)や日本銀行が金融政策決定会合を予定している。金融政策の変更は予定されていない。ECBは定例理事会やドラギ総裁会見で、果たして6月に期限がくる国債購入プログラムの終了を示唆するかどうかに注目が集まる。日本銀行は政策決定と同時に四半期見通しも発表する見通し。黒田総裁は経済には依然現行の緩和策が必要だと繰り返す可能性がある。

米国では、スタグフレーション懸念も根強い。1−3月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.0%が予想されている。先週は利回り曲線の平坦化、逆転の可能性が警戒され景気後退懸念も浮上。しかし、米国債券利回りが再び上昇しており、利回り平坦化も一服。米10年債利回りが心理的節目と見られる3%を達成できるかどうかに引き続き焦点が集まる。引き続き長期金利の上昇がドル買い材料となると見る。

27日には韓国と北朝鮮の南北首脳会談が開催される。6月初旬と言われる米朝首脳会談の基盤を作るとも考えられており、行方に注目が集まる。順調に進めば会談が実現するが、トランプ大統領は会談が行われない可能性もあると指摘している。日本は、北朝鮮が対話で核兵器実現に向けた時間稼ぎをしているとの疑惑をぬぐうことができないでいる。また、米朝会談が実現したとしても、非核化どころか、物別れに終わると危機が今までよりも深刻化する可能性もあるため、当面リスク要因となる。

■今週の主な注目イベント

●IMF・世銀春季総会(22日まで)

●27日韓国と北朝鮮の南北首脳会談

●米国
24日:マクロン仏大統領が米国訪問
27日:1−3月期国内総生産(GDP)速報値:前期比年率+2.0%
(2017年10−12月期+2.9%)

メルケル独首相がトランプ大統領と会合
(貿易、国防、イラン核合意に関して協議)

●欧州
26日:欧州中央銀行(ECB)定例理事会、ドラギECB総裁記者会見

●日本
27日:日本銀行金融政策決定会合、黒田日本銀行総裁会見

●地政学的リスク
北朝鮮
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:円買い持ち:今週の注目:南北首脳会談、米Q1GDP、BOJ、ECB