短期投機家・投資家の円の売り持ち高は前々週から小幅減少した。ただ、2014年来で最高水準近辺を維持。

今週は、日本の解散総選挙や欧州中央銀行(ECB)の定例理事会、税制改革などのトランプ経済政策や次期FRB議長の行方、米国の国内総生産(GDP)が焦点となる。ECBは10月の理事会で、2018年の緩和計画を協議、発表する計画。緩和策の縮小計画が発表されると見られており、ユーロ買い要因となる。一方、カタルーニャ州独立問題がくすぶり上値も限定的か。カタルーニャ州独立派組織は支持者に本店移転を発表したカイシャバンクとサバデル銀行からの預金引き出しを呼び掛け。スペイン政府は21日に、閣僚会議開催を予定している。

日本の解散選挙では与党の勝利が広く予想されており、政権が維持されれば、安倍氏は在任期間が戦後最長の首相になる可能性が高い。また、アベノミクスの継続で景気回復が期待されリスク選好の動きに一段と拍車がかかることになる。逆に予想が外れた場合、リスクとなり円買いが進む。

米国の7−9月期国内総生産(GDP)は2.5%の成長が見込まれている。2つの大型ハリケーンが成長を抑制し、前四半期の3.1%成長から鈍化が予想されている。ただ、FOMCや大半のエコノミストは10−12月期には復興需要などで、大きく反発すると見ている。また、耐久財受注で製造業の伸びが堅調に続いていることを確認することになる。

11月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、連邦準備制度理事会(FRB)がブラックアウト機関入りするため、FRB高官らの講演は予定されていない。また、引き続きトランプ大統領による次期FRB議長指名を睨んだ展開となる。ホワイトハウスによると、次期FRB議長候補がパウエルFRB理事とテイラー教授に絞られたという。金融政策では大きな違いが生じる。パウエルFRB理事はイエレンFRB議長ほどではないが、ハト派寄りで現行の金融政策を継承すると見られる。一方、テイラー教授が指名された場合は、FRBの運営自体に大きな変革をもたらすと見られている。同氏は候補者の中でも最もタカ派。サンダース報道官は両氏の起用も選択肢となると言及した。

下院は上院が承認した2018会計年度(17年10月~18年9月)予算の大枠となる予算決議案を採決する見通し。税制改革によって10年間で1.5兆ドルの減税を容認する内容で、トランプ政権が目指す大型減税の議会審議が本格化する。コーンNEC委員長はトランプ大統領のアジア歴訪に同行せず、税制改革案を成立に向けた取り組みをさらに進める。次期FRB議長の人事はリスクとなるが、基本的には税制改革への期待が勝り年末に向けてドルを支えていくとみる。

■今週の主な注目イベント

●日本

22日:解散総選挙

●米国

25日:9月耐久財受注:予想前月比+1.0%、8月+2.0%
27日:7−9月期国内総生産(GDP):予想前期比年率+2.6%、4−6月期+3.1%

●欧州

21日:スペイン政府、閣僚会議開催
24日:スペイン:上院、カタルーニャ州独立問題が焦点に、ドイツ:ショイブレ財務相が下院議長に就任
26日:欧州中央銀行(ECB)定例理事会、ドラギECB総裁会見

●英国
23日:メイ首相が議会で、EU離脱協議の進展を発表へ

●中国
24日:19回共産党大会閉幕

●地政学的リスク
北朝鮮
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ


*円
ネット・円売り持ち:- 101,286(10/17)←円売り持ち:- 101,419(10/10)(直近
ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット
円売り持ち高:07年6/26-188,077)

*ユーロ
ネット・ユーロ買い持ち:+90,452(10/17)←ユーロ買い持ち:+98,079(10/10)
(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)

*ポンド
ネット・ポンド買い持ち:+5,047(10/17)←ポンド買い持ち:+15,508(10/10)
(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)

*スイスフラン
ネット・スイスフラン売り持ち:-4,931(10/17)←スイスフラン売り持ち:-
4,262(10/10)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)

*加ドル
ネット・加ドル買い持ち:+75,086(10/17)←加ドル買い持ち:+76,392(10/10)
(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)

*豪ドル
ネット・豪ドル買い持ち:+61,800(10/17)←豪ドル買い持ち:+69,182(10/10)





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:円売り持ち3年ぶり高水準維持、今週の注目:日本の解散総選挙、ECB、米税制改革