11日の日本株市場は、こう着ながらも底堅い相場展開が見込まれる。10日の米国市場はNYダウが小幅に上昇。5月CPIは市場予想を上回ったものの、連邦準備制度理事会
(FRB)が金融緩和の縮小を急ぐほどではないと受け止められ、買いの安心感が広がった。週次新規失業保険申請件数も市場予想は上回ったものの、前週より減少し、労働市場の回復が続いていることが確認された。足元で売られていた景気敏感株が買い戻され、長期金利の低下はハイテク株など、PERの高い銘柄への買いを誘った。シカゴ日経225先物清算値は大阪比20円高の28940円。円相場は1ドル109円30銭台で推移している。

 CPIを消化したことからアク抜けが期待される。SQは波乱なく通過すると見られ、需給面でも軽くなることから改めて日経平均は29000円を中心としたもち合いレンジの突破を意識させてきそうだ。上値抵抗線として意識されている75日線は29147円に位置しており、SQに絡んだ商いから一気にクリアしたいところ。米国市場ではNYダウは引けにかけて軟化したことから小幅な上昇にとどまっているものの、ナスダックは堅調。CPI発表後に長期金利は上昇したものの、その後は低下したことからハイテク株への物色が見られている。

 また、TSMCは日本で初となる半導体工場を熊本県に建設する検討に入ったと報じられているほか、米半導体のSiFiveに米インテルが買収を打診しているとの観測報道も伝えられており、足元で利益確定の売りに押されていたハイテク株への物色に向かわせやすいところである。指数インパクトの大きい値がさ株ハイテク株などへの物色が見られるようだと、日経平均の押し上げ役になりそうだ。

 一方で、SQ値が心理的な抵抗となる可能性はある。そうなると週末要因もあって次第に様子見姿勢が強まる可能性も警戒されるため、物色対象についても個人主体による中小型株へ向かわせやすい。また、新型コロナワクチン接種が加速しており、アフターコロナに関連した銘柄への循環物色も見られよう。
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情報提供元: FISCO
記事名:「 CPI消化で29000円を中心としたもち合いレンジの突破を意識