16日の日本株市場は、利食い優勢ながらも底堅さが意識される相場展開になりそうだ。15日の米国市場ではNYダウが227ドル高と続伸。ウイルスワクチン開発が異例の速さで進んでおり年末までの実用化期待が広がったほか、投資銀行ゴールドマンサックスの好決算や、予想を上回った米国経済指標が材料視された。シカゴ日経225先物清算値は大阪比60円安の22890円。円相場は1ドル106円90銭台とやや円高に振れて推移している。

 シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、やや利益確定の流れが先行して始まろう。モデルナは、開発中の新型コロナウイルスワクチンの初期の治験で、参加者全員に抗体の生成が確認できたと発表し実用化期待から急伸したが、これについては昨日の段階で織り込まれていた。グローベックスのNYダウ先物が強い動きをみせていたこともあり、米国市場の上昇は想定線である。日経225先物はナイトセッションで一時23000円を回復しており、いったんは利食いも意識されるところだろう。

 とはいえ、ワクチン開発への期待感から売り込みづらい需給状況である。英大学が開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で、前向きな暫定結果が近く報告されるもようとの報道も伝わっており、押し目買い意欲は強そうである。また、米国では航空会社やクルーズ船会社が買われるなど、ワクチン開発への期待からコロナの影響を大きく受けていたセクターへの見直しが強まってきている。一方でアマゾン・ドット・コムやKLAなどテック株への利食いがみられており、物色対象に変化がみられている。

 国内でも直近ではバリュー株への物色がみられてきており、グロース株の利益確定に対して、バリュー株への見直しの流れが波及する可能性がありそうだ。日経平均は昨日の上昇で足元のもち合いレンジの上限を突破しており、今後は節目の23000円とレンジ上限だった22700円辺りでのレンジに移行している。下値の堅さが意識される局面においては、23000円突破からの一段の上昇によって6月高値が視野に入っている。強い上昇が続いていたグロース株を利食いつつ、出遅れ感のあるバリュー株への見直しによって一段の上昇が意識されてくるかが注目されよう。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 バリュー株への見直しの流れが波及する可能性