[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28774.05;+318.45TOPIX;2002.40;+12.55


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は大きく続伸しているとはいえ、25日、75日、200日移動平均線が集中する28900~29000円を手前に伸び悩む格好となっている。また、前日のNYダウが500ドル近い大幅続伸で、ナスダックやSOX指数が急伸したことを踏まえると、上値の重さが拭えない。

 前日の米株市場では、NYダウやS&P500指数が25日線を回復し、米長期金利は上昇、将来の株価変動率を示す米VIX指数は-5.29の21.89と大幅に低下した。市場心理が改善するなかでの典型的なリスクオンムードの様相だ。翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にした中でもハイテク・グロース株が急伸した動きも踏まえると、市場はオミクロン株の懸念後退を好感するだけでなく、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期金融引き締め懸念も相当に織り込んだかのようだ。実際、FRBが金融政策の誘導目標とするフェデラル・ファンド・レート(FFレート)の先物市場での動きによると、市場はすでに来年3回の利上げを織り込んでおり、かなりタカ派寄りとなっている。

 オミクロン株の脅威が緩和し、翌週に控えるFOMCのリスクもすでに十分に織り込んでいるのであれば、このまま懸念一層で年末に向けた株高ラリーとなるのだろうか。
一方で、米金融大手のゴールドマン・サックス・グループは、株式の安易な押し目買いに対して警鐘を鳴らしている。12月はボラティリティーが突発的に拡大する余地があり、リスク指標はまだ買いシグナルを発していないと指摘したという。

 上述したように、先物市場でのFFレートの動きはすでにFRBのタカ派色を相当に織り込んでいるようだ。しかし、株式市場の方は実のところ、織り込んだうえで上昇しているのではなく、FF金利先物市場が想定しているほどのタカ派色になることはないと高を括っているだけではないだろうか。少なくともその可能性がないとは言えないだろう。

 昨年の米大統領選などもそうだが、どのような結果になっても相場にはポジティブで、大きな波乱にはならないと言われているような時でも、実際にイベントを迎えるとなると、仕掛け的な動きなども相まって一時的にボラティリティーが大きくなることが多々ある。昨日、今日の動きだけで過度に楽観に傾くのは時期尚早だろう。ポジションを大きく買い持ちに傾けるなど過度なリスクテイクには気を付けたいところだ。

 さて、後場の日経平均は引き続き上値が重いながらも堅調な動きが続きそうだ。時間外の米株価指数先物が小じっかりな中、上海総合指数などアジア市況は総じて堅調。特段のニュースフローがなければ、日経平均は現状の水準でのもみ合いが続くとみておきたい。
<AK>
情報提供元: FISCO
記事名:「 懸念材料はすべて織り込み済み?