[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28791.10;+84.06TOPIX;1953.90;+14.69


[後場の投資戦略]

 米雇用統計の発表を控えた週末の東京市場で、日経平均は5日ぶりに反発して前場を折り返した。今週に入ってからの4日間は海外勢のものとみられる株価指数先物の売りで計360円近く下落しており、雇用統計発表を前に持ち高調整目的の買い戻しが入っているのだろう。なお、前日の先物手口でも日経平均先物でクレディ・スイス証券、東証株価指数(TOPIX)先物でBofA証券の売り越しが観測された。「リフレトレード」の後退に国内での新型コロナウイルス新規感染者数の増加も重なり、グローバル投資家の日本株のエクスポージャー(投資残高)が高まっている印象は薄い。

 雇用統計の内容を見極めたいとの思惑もあって、直近の下落分を埋めにいくような動きとはなっていない。前哨戦となったADP雇用統計や週間の失業保険申請件数は、サービス業を中心とした雇用回復を背景に良好な結果となった。これらを受け、雇用統計の市場予想コンセンサスは非農業部門雇用者数で71万人程度の増加(5月は55.9万人増)まで引き上げられているようだ。失業率は5.6%(同5.8%)、平均時給は3.6%増
(同2.0%増)といった予想になっている。

 もっとも前日指摘したとおり、ここ数カ月はADP雇用統計の方が米政府の雇用統計より強めの数値が出ている。また、失業給付の上乗せ失効で需給ギャップの解消が期待されている一方、失業の長期化による影響や低賃金労働の減少などといった構造的な問題が見過ごされている感は拭えない。逆に強すぎる数値ならテーパリング早期化の思惑が広がるだろう。中期的なトレンドとして「リフレトレード」後退の流れは変わらないとみるが、短期的な方向感を変える可能性は十分ある。なお、週明け5日の米市場は独立記念日の振り替え休日で休場となるため、内容の消化にやや時間がかかる可能性があることにも注意しておきたい。

 また、前日の当欄では業績上方修正を発表したマルマエ<6264>の急落を受け、決算発表シーズン中の株価反応に不安があることを指摘したが、前日の米市場でも決算発表した半導体のマイクロン・テクノロジーが材料出尽くし感から大きく売られる格好となった。本日、郵船が売り一巡後に下げ渋ってきたことにはやや安心感があるが、株価位置の高い半導体関連株や海運株は「好業績をある程度織り込み済み」と受け止められているようだ。決算発表シーズンまで容易に上値を追いづらい状況となるかもしれない。

 最後に、4日は東京都議会選の投開票が予定されている。自公協力の前提とみられている「小池百合子都知事への歩み寄り」を打ち壊すかのような有力者の発言があったり、過労で一時静養していた小池氏に思いのほか同情票が集まり、都民ファーストの会が支持を増しているとの報道もあったりするが、ここまで特段大きな波乱要因は見られない。衆院解散・総選挙前の首都決戦で自民党が巻き返すか、都ファが粘り腰を見せるか注目したい。
(小林大純)
<AK>
情報提供元: FISCO
記事名:「 「米雇用」に「決算反応」「首都決戦」