インド準備銀行(中央銀行)は4日、2017年度(18年3月まで1年間)の成長予想を従来の7.3%から6.7%に引き下げ、政策金利を6.0%に据え置いた。インフレ率が8月に入ってから3.36%まで加速し、準備銀が設定したインフレ目標4%に接近していることが背景にある。

中国の専門家は、インド経済の成長減速について、企業や個人投資の伸び悩みが主因だと分析した。また、昨年11月に突然実施された高額紙幣の廃止も引き続きインド経済を圧迫しているとの見方を示した。なお、今年4-6月期のインドの成長率は5.7%まで落ち込み、3年ぶりの低水準を記録した。

現金社会のインドでは、高額紙幣の廃止に伴う通貨流通不足がインド経済への打撃が予想以上だと指摘された。調査によると、2015年のインドでの決済は8割が現金だったという。また、農村部では銀行口座を開設しない人も多いため、「キャッシュレス」の浸透は現時点では早すぎると強調されている。

また、物品・サービス税(GST)の導入(今年7月)に向けた準備で、企業の経済活動の一時停止も見られた。ほかに、高い金利水準が国内消費を抑制していると指摘された。インドの国内総生産(GDP)に占めるサービス業の割合は5割以上になっており、高金利の維持は消費低迷などを招くと指摘されている。

専門家は、経済成長の促進とインフレ抑制の間で、準備銀がインフレ抑制に傾いていることも景気の回復遅れの一因だとの見方を示した。

なお、消費がもっとも旺盛だといわれている8月から9月にかけてのフェスティバル・シーズンについて、今年の通貨流通量は高額紙幣廃止前を下回ったと報告された。現金社会のインドでは、電子マネーの浸透が予想より遅れているもようだ。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 【中国の視点】インド経済は失速、「高額紙幣廃止」が間違いか