人材紹介およびタレント・アドバイザリー事業を展開するロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社(本社:東京渋谷区、代表取締役社長:ジェレミー・サンプソン )は、LGBTQIA+コミュニティの人々の経験や期待、日本社会や職場における多様性およびインクルージョン(包摂性)に関する最新調査*を発表しました。本調査は、オンラインおよび東京プライドフェスティバル2025年の来場者を対象に実施されました。

イプソスグループが先日実施したグローバル LGBT+プライドレポート**によると、日本では「LGBTの人々が、性的指向や性同一性について誰にでも公表すること」を支持する割合が26カ国中24位でわずか26%、現在トランスジェンダーの人々が社会で非常に/かなり差別されていると認識する割合は39%と、調査対象国中で最下位でした。

このように、日本がLGBTQIA+の認知度や受容度において他の先進国に比べて遅れを取っている中、当社の今回の調査では、43%がLGBTQIA+コミュニティのメンバー(当事者)であり、さらに20%がアライ(支持者)であるという、より理解や問題意識を持つ層からの見解が示されました。本調査は、Tokyo Pride2025のテーマ「Same Life, Same Rights(同じ命、同じ権利)」に沿って実施されたもので、日本に住む、または日本を訪れている10代から60代の回答者1,498人から得た知見をまとめたものです。比較的LGBTQIA+への関心が高いこの層からの声は、インクルーシブな職場環境への期待や未だ残る課題を浮き彫りにしています。

*調査期間・場所:2025年6月、オンラインおよびオフライン(東京プライドフェスティバル2025来場者)。調査対象:10代以上の日本に住んでいる/訪れている人1,498名。

求職者のキャリア選択における、多様性&インクルージョンの重要な役割

本調査では、多様性&インクルージョンの取り組みが、日本におけるプロフェッショナルのキャリア選択において重要な要素となっていることが明らかになりました。多様性とインクルージョン、特にLGBTQIA+を積極的に支持する企業で働くことの重要性を1から10の尺度で回答してもらったところ、31%が「とても重要である(10)」と評価し、さらに25%が「重要である(8~9)」と評価しました。「重要でない(1~3)」と回答したのは昨年の9%を下回る7%で、インクルーシブな職場文化は重視される傾向にあることがわかります。

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企業選択における他の要素を考慮したうえでも、多様性とインクルージョンは回答者にとって最優先事項の一つであることが明らかになりました。回答者の55%が「給与と福利厚生」を第一優先事項としている一方で、40%が「社風」と並んで「ダイバーシティ&インクルージョンを重視している会社であること 」を重要な判断基準としているようです。次いで「ワークライフバランス」(36%)や「キャリアアップ」(28%)も重要な検討項目として挙げられ、求職者は様々な角度から採用企業を評価していることが伺えます。

職場の差別・偏見、少しずつ改善の兆し

「職場で差別や偏見に直面したことがある」と回答した人の割合は、2024年の50%から2025年には43%に減少しており、日本においてよりインクルーシブな職場環境づくりが進んでいる可能性を示しています。

差別・偏見の種類においても昨年の調査結果に比べて主要なカテゴリーで改善が見られます。年齢による差別は46%から35%に、性的指向による差別は44%から30%に、性自認による差別は37%から27%に減少しました。性別に基づく差別は45%で最も多く見られ、前述の項目に続き、外国籍/人種(22%)、障害/神経多様性(12%)も差別の要因となっています。前回の調査結果から徐々な改善の兆しは見られるものの、職場の様々な場面における差別・偏見はまだまだ存在し、なくすための継続的な取り組みが引き続き必要とされています。

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「誰もが自分らしく働ける」はまだ道半ば

「LGBTQIA+コミュニティの当事者である」と回答した人の間でも、職場でのオープンさ・カミングアウトへの姿勢は異なるという結果が出ました。調査によると、38%は自身の性自認や性的指向について「すべての同僚にオープンにしている」と答えた一方で、37%は「信頼している一部の同僚にのみ共有している 」と答えました。また、21%は職場の誰にも自身の性自認や性的指向について共有しておらず、誰もが自分らしく働ける環境への障壁となっている可能性があります。

職場で自身の性自認や性的指向をカミングアウトしない理由について「職務上、共有する必要性を感じないため」(40%)、「特に共有する必要性を感じていないため」(27%)など、中立的な理由も挙げる人もいた一方で、58%が「差別や偏見を受けることへの懸念があるため」と答え、29%が「キャリアや昇進に悪影響があるのではないかという不安があるため」と回答しました。この結果から、職場におけるインクルージョンが重視されているかどうかが、LGBTQIA+の社員が安心して自分らしく働けるかどうかに深く関係していることが分かります。また、インクルーシブな環境の有無が、キャリアアップの機会にも影響を与えると考えられているようです。

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DEIへの取り組み、外資系企業が一歩先を行くという認識

下記のグラフから、外資系企業と日系企業の間で「多様性・公平性・インクルージョン(DEI)」への取り組みに大きな違いがあると感じている人が多いことがわかります。44%の回答者が「一般的に、外資系企業の方がDEIの取り組みに力を入れていると感じる」と答えた一方で、「日系企業の方が力を入れていると感じる」と答えた人は21%にとどまりました。

また、27%の人が「どちらの企業のDEIの取り組みにも詳しくないため、わからない」と回答しており、企業のDEIに関する取り組みがまだ十分に知られていないこともうかがえます。このことから、あらゆる企業において、DEIの取り組みを社内外により広く伝えていく必要があることが示唆されています。

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インクルーシブな職場づくり、企業にできること

LGBTQIA+の権利をよりよく支援するために企業がどのような行動をとるべきかについて尋ねたところ、社内外で実施可能な具体的な項目が明らかになりました。

最も多くの支持を集めた取り組みは、「LGBTQIA+コミュニティの公的かつ積極的な支援をすること」(36%)、「ジェンダーフリーの施設(トイレ、更衣室など)を設けること」(35%)、「インクルーシブな人事方針(差別禁止方針、同性パートナーに対する平等な福利厚生など)を策定すること」(31%)でした。そのほかの優先事項としては、「LGBTQIA+の従業員のためのリソースグループ***を提供すること」(28%)、「職場におけるDEIの取り組みを強化すること(セミナーや研修への参加を含む)」(21%)、「トランスジェンダー医療保険/性別移行支援を提供すること」(19%)などが挙げられました。

また、「LGBTQIA+のインクルージョンにおいて進んでいると感じる企業はありますか?」という質問に対しては、前述の結果の通り、多くの回答者が外資系企業を挙げました。プライド・イベントへの参加、インクルーシブな人事制度、LGBTQIA+コミュニティへの目に見える支援などが評価されているようです。一方で、日系の大手電機メーカーやEコマース企業の名前も挙がり、社内ネットワークや教育プログラムの取り組みが言及されました。これらの声は、インクルーシブな職場づくりには、寛容な文化の醸成と組織的な取り組みが重要であることを示しています。

今後企業がLGBTQIA+コミュニティへの支援を効果的に進めるためには、社外に向けた目に見える働きかけと、社内での具体的な方針の見直しの両方が不可欠であると言えます。このような取り組みは社会により良い変化を生み出そうとする企業にとって、実践的な指針となるのではないでしょうか。

***「LGBTQIA+の従業員のためのリソースグループ」とは、 LGBTQIA+の社員の交流や相談の場の提供、社内での情報発信、ポリシーや福利厚生の改善提案を行うグループを指します。


「同じ命、同じ権利」を目指して:変革への声

今年のTokyo Prideのテーマ「Same Life, Same Rights(同じ命、同じ権利)」にちなみ、今回の調査では「すべてのひとが平等に生きる権利を持つために、最も変わってほしいことは何ですか?」という質問をしました。これに対し、多くの回答者が、同性婚の法的承認が最も重要な一歩であると強調しました。結婚の平等が、LGBTQIA+の人々にとってより広い市民権の獲得や社会的受容の土台になるという考えが多く見られました。

また、回答者からは、法制度の整備だけでなく、偏見や差別をなくすための社会的な認識の向上や教育の充実が必要であるという声も寄せられました。人々が恐れや偏見にさらされることなく、自分らしく堂々と生きられる環境づくりの重要性が強調されました。さらに、性別適合手術へのアクセス改善や職場での平等な権利の保障、トランスジェンダーの人々への支援など、言葉にとどまらない具体的なアクションへのニーズも求められています。

ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社、東京オフィス、金融サービス・法務・人事・サポート部門シニア・ディレクターのジョシュア・ブライアンは次のように述べています。

「今回の調査結果は、日本のLGBTQIA+コミュニティのプロフェッショナルやアライ(支持者)の方々が、企業に対して何を求めているのかを明確に反映しています。

多様な人材に対してインクルーシブな職場文化は「あったらいいな」という理想条件ではなく、企業が優秀な人材を惹きつけ、定着させるためには欠かせない要素になってきているという強いメッセージが伝わってきます。

特に印象的だと感じるのは、LGBTQIA+コミュニティの人々のキャリアに対する価値観が、日本の人材市場全体で見られるトレンドと一致している点です。自分らしさを表現できること、心理的な安全性が確保されていること、そして理念や価値観に共感できる職場を求める姿勢は、今や先進的な企業が無視できない重要な変化を反映しています。

今年のTokyo Prideのテーマである「Same Life, Same Rights(同じ命、同じ権利)」は、職場においても非常に大切で共感を呼ぶテーマです。LGBTQIA+コミュニティの人々は特別扱いを求めているのではなく、他の同僚と同じように公平な機会と心理的な安心感があり、自分らしく働ける環境を望んでいます。企業がこの考え方を言葉や方針だけでなく実践的に取り入れることで、多様な人材の力を最大限に引き出し、働き手に選ばれる企業になることができるのです。」


ロバート・ウォルターズ・ジャパンのDEIの取り組みはこちら:
https://www.robertwalters.co.jp/about-us/equity-diversity-and-inclusion.html


**イプソスLGBT+プライドレポート2025。イプソス, 2025年6月。
リンク: https://www.ipsos.com/ja-jp/ipsos-pride-survey-2025-japan

ロバート・ウォルターズ・ジャパンについて

ロバート・ウォルターズは1985年に設立され、世界31カ国でタレント・ソリューション・ビジネスを展開するグローバル企業です。日本では事業を開始して今年で25周年を迎え、東京と大阪を拠点として日本に根ざしたビジネスを展開しています。ロバート・ウォルターズ・ジャパンのコンサルタントは、各業界のエキスパートであり、幅広い業種・職種の人材ソリューションをチームで提供しています。

当社の3つの主なサービス:
・人材紹介:正社員採用、派遣・契約社員採用、エグゼクティブサーチ、海外在住の日本人向けの帰国時キャリアコンサルティングサービスを提供しています。
・採用代行・人材アウトソーシング:採用にまつわる業務の委託や、専門性の高いプロフェッショナルのアウトソーシングをご利用いただけます。
・タレント・アドバイザリー:マーケット・インテリジェンス、企業が採用におけるダイバーシティ&インクルージョンを確保するための「DEI推進ロードマップサービス」、日本における女性管理職の育成を推進するための「女性リーダーシップ推進プログラム」などを提供しています。

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配信元企業:ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社
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情報提供元: Dream News
記事名:「 職場での差別・偏見は改善も、自分らしく働ける環境づくりに課題:ロバート・ウォルターズ調査