株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、協働ロボット世界市場を調査し、主要国の関連政策や支援制度、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況
2021年における協働ロボット世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで44,204台、同出荷金額ベースで1,496億6,900万円と推計する。

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世界的な半導体及び電子部品の不足は協働ロボット及び周辺機器の生産においても影響を多少及ぼしたが、製造業の生産低迷にあっても生産・製造における自動化ニーズの波は大きくなりつつあり、人手不足や感染症予防の為のソーシャルディスタンスの維持、生産コストの削減、製造品質の向上など、生産安定化のための対策として、協働ロボットの導入は世界的に増加した。
国別に市場をみると、中国と欧州が世界市場をリードしている。中国では米中貿易摩擦に起因する保護貿易の拡大により、米国や欧州向けなどの輸出環境が厳しくなっているが、中国国内において協働ロボットの価値に対する人々の認識・理解が深まった事から、製造業だけではなくサービス業においても導入が進んだ。
業界では、世界経済の低迷が製造業の生産高と新規受注数の継続的な縮小を招き、設備投資の減少により協働ロボットの需要が減少する懸念があったものの、2022年の出荷金額が微増で留まった欧州市場を除いて、世界各国で着実に協働ロボットの導入が増加した見込みである。世界の製造業が集まる中国や東南アジア、人手不足が深刻な米州(主に米国)、バッテリー及び半導体の製造強国の韓国を中心に、協働ロボット市場の拡大を見込む。

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2.注目トピック~協働ロボットの動作速度改善に対する研究開発が進む
協働ロボットは、人間と同じ空間で協働作業が可能な産業用ロボットとして設計されているため、安全に停止できる事を前提にTCP(Tool Center Point:工具中心点)速度が250mm/s以下に設定されている。一方で、協働ロボットの動作速度を遅く設定すると、安全性はある程度確保できるが生産性が低くなるという短所がある。

近年、近くに作業者がいないときは産業用ロボットと同程度の動作速度の製品を発売するメーカーも増えている。障害物を感知するレーザスキャナなどのセンサーを設置する事で、近くに作業者がいないときは動作速度を最大化し、作業者が接近したことを検知すると自動的に減速して停止に必要な距離を縮めることで、生産性と安全性を両立できる。今後、より精密に障害物の感知や速度変換が実現できる技術が開発され、協働ロボットの普及を後押しするものと期待される。

3.将来展望
ロボットによる自動化のニーズは高まっており、協働ロボットの市場規模が拡大し、参入プレーヤーが増加している事で、関連部品のコスト削減が期待できる。そうしたことで協働ロボット本体の価格は2032年には2022年に比べて30%前後まで下がる見通しである。
コスト削減により導入業界や需要分野が更に広がることで、2032年の協働ロボット世界市場規模はメーカー出荷台数ベースで432,514台、同出荷金額ベースで1兆538億2,300万円まで成長するものと予測する。

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調査要綱
1.調査期間: 2022年10月~2023年2月
2.調査対象: 協働ロボットメーカー、周辺機器及び部品メーカー、ロボットSI企業、協働ロボットレンタル企業、協働ロボット導入企業・店舗、政府機関、大学・研究所、業界団体など
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2023年02月27日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】協働ロボット世界市場に関する調査を実施(2023年)~2032年の世界出荷台数を43万台、出荷金額1兆538億円を予測、高機能化で業界や需要分野は増々広がる見通し~