日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、11月14日の第7回学術集会にて演題発表のあった動画および資料を会員限定サイトで、11月19日に公開した。

第7回学術集会は、ZOOMミーティング形式で実施しました。50-60名の参加がありました。当日の演題動画と演題資料を会員限定サイトにアップしましたので、欠席された方はぜひご覧ください。世界初のカンナビノイド(大麻由来)医薬品企業GW Pharmaceuticals、日本人初の国際学会賞を視聴することができます。

本学会が実施した過去6年間における90演題の動画の視聴、講師の発表した90演題の資料(一部非公開な資料は除く)をすべて見ることができます。最近、会員になった方はぜひ過去の演題で気になったものを見ていただければと思います。

本学会のサイト
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/

会員限定サイトでご確認下さい。 <動画>
http://cannabis.kenkyuukai.jp/video/

会員限定サイトでご確認下さい。<演題資料>
http://cannabis.kenkyuukai.jp/subject/subject_list.asp

注:当学会では、学会運営の効率化のためにm3,comのシステムを利用しています。
m3.comのIDのない会員様は見ることができません。


招へい講演 日本に進出したGW Pharmaceuticalsによるカンナビノイドの科学的研究と医薬製薬
篠原久治(GW Pharma 株式会社 代表取締役社長)

GW Pharmaceuticals plcについて
英国を拠点とする世界的なバイオ医薬品企業である GW Pharmaceuticals(GW)と米国の子会社Greenwich Biosciencesは、カンナビノイドの科学的研究と製薬で世界をリードしています。20年以上前に、患者のニーズに応えるために設立されたGW にとって、患者と向き合い生活の質を向上させることが不変で主要な事業目的であり、GW と社員にとってのモチベーションです。 GWの先駆的な取り組みにより、世界初の生活様式をも変える可能性のある大麻由来成分の医薬品が規制当局に承認されました。そして世界中の何千人もの患者の治療法を確立したのです。
詳細については、www.gwpharm.co.uk (英語)をご確認ください。

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000248658&id=bodyimage1

教育講演 祝・国際カンナビノイド研究学会(ICRS)Mechoulam賞(学会賞)受賞記念
25年に渡るエンドカンナビノイド・システムの研究成果
上田夏生(香川大学医学部教授)

カンナビノイド受容体(CB1とCB2)の内在性リガンドは「エンドカンナビノイド」と総称され、同受容体に結合することで鎮痛・抗不安・食欲亢進等、多様な作用を示す。アナンダミドと2-アラキドノイルグリセロールがその代表であるが、いずれも不飽和脂肪酸のアラキドン酸の誘導体であり、体内で必要に応じてリン脂質から合成され、作用後は速やかに分解される。これらの反応は特定の酵素が触媒することから、酵素の遺伝子を同定し、酵素の性質を解明することはエンドカンナビノイドの役割を解明する上で重要であり、医薬品の開発にも貢献する。本講演では、講演者が長年研究の対象としてきたこれらの酵素についてわかりやすく解説する。

参考文献
坪井 一人,宇山 徹,上田 夏生.特集:ここまでわかった脂質の機能, N-アシルエタノールアミンの機能と生合成機構.生化学 第 92 巻第 5 号,pp. 666?679(2020) https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2020.920666/index.html

宇山 徹,上田夏生.明らかになり始めた生理活性脂質N-アシルエタノールアミンの生合成機構
N-アシル転移酵素の構造と機能.化学と生物?Vol. 58, No. 11, 2020
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/58/11/58_581002/_article/-char/ja/

<用語解説>

Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。

CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。

ヘンプ(産業用大麻)
大麻草に含まれ、向精神作用のあるTHC濃度が1%未満の品種を栽培し、そこから衣類、食品、化粧品、建材、製紙、飼料、敷料、自動車用品などの産業用途に使用すること。嗜好用や医療用の大麻と区別するために、ヘンプ(Hemp)と呼ばれている。

日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2021年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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情報提供元: Dream News
記事名:「 11月14日の第7回学術会議の大麻/カンナビノイド医療に関する動画及び資料を会員限定サイトにて公開